黒江保彦

黒江 保彦の生涯と業績

黒江保彦（くろえやすひこ、1918年2月17日 - 1965年12月5日）は、日本の陸軍軍人及び航空自衛官であり、優れたエースパイロットとして知られています。彼は日本陸軍航空隊に所属し、多くの空戦に参加しながら、戦後は航空自衛隊でも活躍しました。最終的には日本陸軍では陸軍少佐、航空自衛隊では1等空佐の職階に就くことになります。

生い立ちと教育

鹿児島県の日置郡中伊集院村に生まれた黒江は、陸軍砲兵大尉の四男として成長しました。彼の教育は伊集院中学から始まり、その後陸軍士官学校予科へと進みました。日本統治下の朝鮮にある飛行連隊で勤務を経て、1938年に陸軍航空士官学校を卒業し、航空兵少尉に任官されました。彼の同期には後に第10代航空幕僚長となった石川貫之がいます。

陸軍時代の功績

クロウエは少尉となった後、明野陸軍飛行学校での訓練を受け、日中戦争が展開される中、飛行第59戦隊に配属されました。その後、ノモンハン事件に参戦し、初めての実戦を経験しました。戦闘機の操縦技術を磨きつつ、彼は1939年の停戦日朝、ソ連機の撃墜を果たすなど、その名を高めていきました。

1941年には、陸軍航空士官学校の教官として着任し、その後陸軍航空審査部に転任。ここでは新型の戦闘機を使用した研究や、部隊の戦技を向上させる活動に従事しました。太平洋戦争が始まると、独立飛行第47中隊に編入され、シンガポール攻撃戦などに参加し、戦果を上げていきました。

戦闘機隊指揮官としての役割

さらに、1943年には飛行第64戦隊に加わり、部隊の指揮をとりました。激しい空中戦が続くビルマ戦線においても、主にB-24爆撃機やP-51戦闘機との交戦に関わりながら、その戦局に影響を与えました。1944年には再び陸軍航空審査部に着任し、その後も各種試作戦闘機の試験飛行を担当しました。

航空自衛隊入りと後の栄光

日本の降伏後、黒江は郷里に戻り農業に従事するも、多くの困難に直面しました。その後、航空自衛隊の設立に伴い、1954年に入隊します。ジェット戦闘機の搭乗員としての生活を取り戻すと、年間イギリス空軍への留学も果たし、経験を積み重ねました。

帰国後は多くの重要な役職を歴任し、1965年には1等空佐として最後の任務に就いていました。しかし、悪天候の中、磯釣りに出かけた彼は高波に飲まれ、命を落としました。47歳での突然の死は、多くの人々に深い衝撃を与えました。

人柄と著書

彼は心優しい性格で知られ、部下たちから慕われた存在でした。思ったことを即行動に移すタイプであり、釣りに情熱を注ぎ、また才能豊かな文筆家としても評価される著作を残しました。代表作には『つばさの血戦』や『空の男 ジェットパイロットの記録』があり、戦記文学としても高く評価されています。

黒江保彦の生涯は、戦争という時代の中での戦士の姿を浮き彫りにし、また彼の再生と復活の物語ともいえます。その業績や人柄は、今でも多くの人々に記憶されています。

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