黒澤満 (映画プロデューサー)

黒澤満の生涯と業績

黒澤満（くろさわ みつる、1933年 - 2018年11月30日）は、日本の映画プロデューサーとして知られています。彼は東映ビデオ株式会社の代表取締役副社長や、株式会社セントラル・アーツの代表取締役をつとめました。早稲田大学を卒業後、1955年に日活に入社し、そのキャリアをスタートさせました。約10年間の劇場興行職を経て、1970年には日活の映画本部長室が設立され、この時に俳優部次長に就任。何度の転機を迎えながらも、数々の映画をプロデュースし、特にロマンポルノにおける貢献が評価されています。

1971年11月には、日活がロマンポルノに転換する際の企画製作の中核を担い、多くの作品を生み出しました。彼は「ロマンポルノ」という名称の名付け親ともされており、1973年には日活の撮影所長に就任しましたが、1977年には役員会での更迭動議により日活を退社。その後、当時の東映社長であった岡田茂からのヘッドハンティングを受け、東映セントラルフィルムに参加します。

日活時代からの旧知の松田優作を迎え、『最も危険な遊戯』を製作することで新たな映画の旗揚げを行った黒澤は、松田を主人公とする「遊戯シリーズ」の成功に寄与しました。また、『野獣死すべし』や『探偵物語』、さらには『あぶない刑事』や『ビー・バップ・ハイスクール』など、数々のヒット作を手掛けることで知られています。彼の作品は、従来の東映の任侠路線とは一線を画し、ハードボイルドな感覚を取り入れたものが多く、映画界に新しい風を吹き込みました。

1980年には、製作部がセントラル・アーツとして分社化され、彼はその代表取締役に就任します。彼のもとでは、多くの作品が製作され、特に松田優作とのコラボレーションが高く評価されました。青春ドラマやアクションといったジャンルの幅を拡げ、黒澤のもとで才能を発揮した多くの映画人もいました。

また、黒澤は映画製作者として自身を表に出すことは少なく、常に裏方に徹した姿勢を貫きました。彼の人柄は映画業界でも評判で、監督の角川春樹は「徹底した現場主義」と評し、黒澤が気難しい俳優や監督の意見をしっかりと受け止め、現場を掌握していく姿勢を尊敬していました。彼は2007年に文化庁映画賞、2011年に日本映画プロフェッショナル大賞を受賞し、映画界への貢献が称賛されました。

2018年11月30日、肺炎のため東京都八王子市の自宅で85歳で逝去しました。黒澤の死後、行われた特集上映では彼の代表作が再評価され、多くのファンや同業者がその功績をしのびました。彼の影響力は今も日本映画界に色濃く残っています。

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