黒田内閣

黒田内閣と三条暫定内閣の概観

日本の第2代内閣総理大臣である黒田清隆は、1888年4月30日に黒田内閣を発足させました。この内閣は1889年10月25日までの約1年半にわたり、その後は内大臣の三条実美が率いる三条暫定内閣が短期間存続しました。新しい憲法の制定や自由民権運動への対策が求められたこの時期、内閣は多くの課題に直面しました。

黒田内閣の人事と活動

黒田内閣は、初代枢密院議長に転じた伊藤博文の後任として、薩摩閥を背景にする黒田清隆が総理大臣に就任しました。黒田は農商務大臣としての役割を続けながら新しい内閣を発足させ、全閣僚を留任させました。そのため、新内閣は既存の閣僚に基づいてスムーズに機能し始めました。

その最大の目的は、日本における憲法と議会の制度を整え、再燃すると予測される自由民権運動に対する取締りを強化することでした。また、欧米列強との交渉においては、不平等条約の改正を進める必要がありました。1889年2月12日には大日本帝国憲法と衆議院議員選挙法が公布され、これに続いて黒田は「超然主義演説」を行い、政党との対決姿勢を打ち出しました。

しかし、内閣内には暗い影も見え隠れしていました。外務大臣の大隈重信は条約改正に携わる一方で、文部大臣の森有礼が暗殺されたことから、閣僚の人事も急務となりました。結果的に榎本武揚が文部大臣に転任し、後藤象二郎が新たに逓信大臣としてその役職に就きました。

条約改正においては、日本とメキシコ間で平等条約が締結され、進展が見られました。ただし、外務省が用意した草案に問題が発生し、反対の声が高まり、大同団結運動が再燃しました。特に、馬車で外相官邸に入ろうとした大隈が暗殺未遂にあい、重傷を負ったことで、黒田内閣に危機が訪れました。結果、黒田は10月25日、全閣僚の辞表を受理し、内閣は崩壊しました。

三条暫定内閣の成立

黒田の辞任後、明治天皇は黒田の辞表のみを受理し、他の閣僚にその任を続けるよう指示しました。さらに、内大臣の三条実美が新たに内閣総理大臣を兼任することが決まりました。三条は長い間、明治政府の中心的存在でしたが、内閣制度導入によって実権は制限されていました。

三条内閣は正式ではなく臨時的なものとして存在し、内閣総理大臣の権限を新たに見直しましたが、実際には後の山縣有朋による新内閣が発足するまでの間、わずか2ヶ月の間の暫定的な内閣とされます。

まとめ

このように、黒田内閣とその後の三条暫定内閣は、日本の憲法制定過程において重要な役割を果たしました。両内閣が直面した課題や、それに対する対応策は、後の歴史においても大きな影響を与えました。今日では、三条が内閣総理大臣を兼任していた期間は、特別な事例として扱われており、歴代内閣総理大臣には含まれないとされています。

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