黒田博

黒田博：日本の声楽界を牽引するバリトン歌手、音楽教育者

黒田博は、その深みのあるバリトン voice と卓越した音楽性で、日本の声楽界を代表する存在です。オペラ歌手としての輝かしいキャリアに加え、国立音楽大学教授として後進の指導にも情熱を注ぎ、さらに二期会の幹事長として日本の音楽文化の発展に貢献しています。

プロフィール

京都市出身の黒田博は、京都市立下鴨中学校、京都府立朱雀高等学校を経て京都市立芸術大学を卒業。卒業時に音楽学部賞を受賞するという優秀な成績を収めました。その後、東京芸術大学大学院オペラ科を修了。蔵田裕行、佐々木成子、中山悌一、原田茂生といった著名な声楽家に師事し、研鑽を積みました。1989年からは2年間イタリアのScuola Musicale di Milanoへ留学し、ロゼッタ・エリー、カルロ・メリチャーニ、アルド・プロッティらに指導を受け、国際的な視野と高度な技術を習得しました。息子も声楽家（バリトン）の黒田祐貴。

オペラ歌手としての実績

黒田博は、国内外の数多くのオペラに出演し、その圧倒的な歌唱力と表現力で観客を魅了してきました。昭和音楽大学オペラ情報センターに記録されているだけでも86件の出演歴を誇ります。モーツァルト作品を得意とし、『フィガロの結婚』のフィガロやアルマヴィーヴァ伯爵、『魔笛』のパパゲーノ、『ドン・ジョヴァンニ』のタイトルロールなど、数々の主要な役柄を自身の“陣地”と語っています。モーツァルト以外にも、現代作品やミュージカルなど幅広いレパートリーを持ち、常に新たな挑戦を続けています。2021年には、テアトロ・レアル、ベルギー王立モネ劇場、フランス国立ボルドー歌劇場との共同制作による東京二期会オペラ劇場ヴェルディ『ファルスタッフ』のタイトルロールに出演し、その存在感を示しました。

コンサート活動と音楽教育

オペラ出演と並行して、コンサートソリストとしても活躍しています。バロック音楽から現代音楽、ミュージカルまで幅広いジャンルに取り組み、ソロリサイタルも積極的に開催しています。また、オペラ歌手による男声クラシカル・クロスオーバーユニット「THE JADE（ザ・ジェイド）」のメンバーとしても活動し、新たな音楽の可能性を追求しています。

音楽教育者としては、国立音楽大学教授として、次世代の声楽家育成に力を注いでいます。過去には国立音楽大学非常勤講師、東京学芸大学准教授なども務めました。門下生からは、小林啓倫、宮城島康、高橋正尚など、多くの才能ある声楽家が巣立っています。論文執筆も手掛けています。

楽界への貢献

黒田博は、演奏活動、教育活動に加え、楽界の要職を歴任し、その発展に大きく貢献しています。二期会幹事長（2016年 - 2022年3月31日まで）、公益財団法人東京二期会常務理事、公益財団法人新国立劇場運営財団理事などを務めました。また、数々の音楽コンクールの審査員も務め、若手音楽家の育成にも力を注いでいます。

黒田博は、その卓越した才能と情熱をもって、日本の声楽界を牽引し、次世代の音楽家育成に貢献する、まさに日本の音楽界にとって欠かせない存在です。

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