黒田弘子

黒田弘子

黒田弘子（くろだ ひろこ、1943年 - ）は、日本の歴史学者で、特に中世史研究において顕著な業績を残しています。旧姓は伊藤。

生涯と学歴

栃木県烏山町（現在の那須烏山市）で生まれました。1966年に早稲田大学第一文学部を卒業後、東京教育大学大学院に進学。1977年に文学研究科博士課程を単位取得満期退学しました。1987年には、「中世惣村史の構造」で筑波大学より文学博士の学位を取得しています。

研究内容

黒田弘子の研究は、中世日本の社会構造、特に惣村（そうそん）と呼ばれる共同体の歴史に焦点を当てています。惣村は、中世の農村における自治的な組織であり、村の運営や紛争解決、用水管理などを共同で行っていました。黒田は、史料を丁寧に読み解き、惣村の成立過程や内部構造、地域社会における役割などを明らかにしました。

女性史の視点

黒田の研究の大きな特徴は、女性史の視点を導入したことです。中世社会における女性の地位や役割、法制度との関わりなどを分析し、従来の歴史学では見過ごされてきた女性たちの姿を浮かび上がらせました。例えば、逃散（ちょうさん、農民が土地を捨てて逃げること）という現象を女性の視点から捉え、女性たちが逃散を選択する背景や理由を考察しました。

主要な著作

『解体期の農村社会: 中世後期における池水灌漑と惣村 : 紀伊国粉河寺領東村』
『鎌倉後期における池築造と惣村の成立 : 紀伊国粉河寺領東村』
『中世惣村史の構造』
『ミミヲキリハナヲソギ 片仮名書百姓申状論』
『女性からみた中世社会と法』
『日本女性史大辞典』（共編）

これらの著作を通して、中世史研究に新たな視点を導入し、社会史研究に多大な貢献をしました。

業績と影響

黒田弘子の研究は、中世史研究における女性史の確立に大きく貢献しました。彼女の研究は、社会史研究の発展に寄与し、歴史学におけるジェンダー研究の重要性を示しました。また、史料を丁寧に読み解き、実証的な研究を行う姿勢は、多くの研究者に影響を与えています。

黒田弘子は、日本の歴史学界において、重要な足跡を残した研究者の一人と言えるでしょう。

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