黒田玲子

黒田玲子 - 日本の生物物理学者

黒田玲子（くろだ れいこ）は、日本を代表する生物物理学者として知られています。1947年10月7日生まれで、学位は東京大学から取得した理学博士です。彼女は東京大学の名誉教授であり、中部大学特任教授としても活躍しています。

経歴

黒田は秋田県で生を受けましたが、育ちは宮城県仙台市です。彼女の父は国文学者の黒田正男であり、宮城教育大学の教授も務めていました。宮城県第一女子高等学校を卒業後、1970年にお茶の水女子大学理学部化学科を修了し、その5年後には東京大学大学院理学研究科で理学博士の学位を取得しました。その後、ロンドン大学で客員講師としての経験を積み、1986年には東京大学教養学部の助教授に就任。1992年には教授に昇進しました。

2000年以降は、森・小泉・安倍内閣で総合科学技術会議の議員や教育改革国民会議の委員としても活動しました。彼女は2008年から2011年にかけて国際科学会議の副会長に就任し、日本人女性として初めての役職です。2012年に東京大学を定年退官した後は、東京理科大学の総合研究機構で教授を務めています。また、2014年からは三菱財団の理事も務めています。

業績

黒田の研究成果は、受精卵の形の違いによって遺伝子の働きが変化することを発見したことにあります。特に、巻き貝の右巻きと左巻きが、受精後数時間以内の受精卵の形の違いによって決まることを示しました。この発見は、2009年にネイチャーに発表され、多くの注目を集めました。

この研究結果は、アルツハイマー病を含む神経変性疾患の研究に広く応用できる可能性があるとして評価され、彼女は2013年度にロレアル-ユネスコ女性科学賞（物理科学部門）を受賞しました。具体的な研究論文として、「Chiral blastomere arrangement dictates zygotic left-right asymmetry pathway in snails」というタイトルの論文があります。

さらに、彼女は生物の左右性を決定する新たなメカニズムを解明し、逆巻きの巻貝を作成することにも成功しました。この成果は、「戦略的創造研究推進事業 発展研究」における研究課題の一環として行われました。

著書と翻訳

黒田玲子は、著書や共著も多数手がけています。1992年に発表された『生命世界の非対称性 自然はなぜアンバランスが好きか』は、彼女の研究成果を広く紹介する重要な一冊です。その後、2002年に『科学を育む』を出版。そして、共編著として『化学のすすめ』や『社会人のための東大科学講座 科学技術インタープリター養成プログラム』なども手がけています。

また、翻訳にも力を入れ、様々な科学書を日本語に訳しています。例えば、1989年には「教養の化学」を訳し、1991年には「ゆかいな生物学」を翻訳しました。

受賞歴

彼女の研究と教育に対する貢献は多くの賞に認められています。1993年には猿橋賞と日産科学賞を受賞し、2004年には山崎貞一賞を受賞しました。これらの受賞は、彼女の業績と影響力を示す物であり、科学界における彼女の地位を確固たるものとしています。

黒田玲子は、研究を通じて科学の進歩に寄与し続けており、その足跡は多くの若い科学者に影響を与えています。

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