黒田職隆

黒田職隆：忠義と策略の狭間で生きた戦国武将

黒田職隆は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。1524年、備前国で黒田重隆の子として誕生しました。幼名は満隆。数々の戦いや政治的駆け引きを経験し、黒田家、ひいては日本の歴史に大きな足跡を残しました。

小寺家家老としての活躍

黒田職隆は、播磨国御着城主の小寺政職に仕えました。その卓越した能力は早くから注目を集め、香山重道討伐など数々の武功を挙げます。1545年には、小寺政職の養女を妻に迎え、家老に昇進。小寺姓と「職」の偏諱を賜り、小寺職隆と名乗るようになりました。姫路城の城代に任命されると、百間長屋を建設。貧しい者や下級武士、職人、行商人などをそこに住まわせることで、家臣団の強化と情報収集拠点として活用しました。

家族と悲劇

1564年には、浦上政宗の次男・浦上清宗と娘の婚姻を成立させました。しかし、婚礼の当日、かつて黒田重隆が仕えた赤松政秀の奇襲に遭い、浦上親子と娘は殺害されます。この事件は、職隆と赤松政秀の対立を激化させました。1567年、職隆は子の孝高に家督と家老職を譲り、国府山城に隠居。しかし、その後の激動の時代の中、黒田家は職隆の知略と経験を必要とする場面に何度も遭遇することとなります。

赤松氏との戦い

1569年、赤松政秀が織田信長に属する池田勝正と別所安治の支援を受け、姫路城を攻めてきました。職隆は、危機に陥っていた孝高を救うため、自ら出陣し、青山・土器山の戦いで勝利に貢献しました。この戦いは、職隆の武勇と老練な戦略眼が光った、重要な出来事の一つです。

荒木村重の乱と黒田家の危機

1578年、摂津有岡城の荒木村重が謀反を起こしました。孝高は村重を説得しようと有岡城に乗り込みましたが、失敗し捕らえられてしまいます。孝高が消息不明になったことで黒田家は当主不在となり、混乱に陥りますが、孝高の家臣7名が職隆に忠誠を誓う書状を送ります。職隆は、孝高救出までの間、黒田家の家督を継ぎ、織田方に忠誠を保ちました。荒木村重の乱が鎮圧された後、小寺政職の子・氏職を密かに引き取り育てたと伝えられています。職隆の忠義と清廉さは、羽柴秀吉からも賞賛され、姫路城の留守居を任されました。

死後と評価

1585年、62歳で亡くなりました。その後も、職隆の功績は後世に語り継がれ、1783年には福岡藩によって墓所が整備され、現在では姫路市指定文化財となっています。光雲神社の摂社にも祀られており、黒田家が最初に百年忌法要を行った人物としても知られています。

黒田職隆は、数々の戦いや政治的困難を経験しながらも、常に忠義を貫き、黒田家の繁栄に貢献した武将でした。その生涯は、戦国時代の激しさ、そして人間ドラマの深さを物語っています。彼の知略と忠義は、後世に大きな影響を与え続けました。

系譜

正室：明石氏（明石正風の娘、小寺氏の養女）
長男：黒田孝高（官兵衛）
次男：黒田利高
長女：香山妙春
次女：秋山妙円
継室：神吉氏
三男：黒田利則
側室：母里氏
四男：黒田直之
三女：心誉春勢

他にも娘がいたという説があり、複数の史料にその痕跡が残されていますが、確証には至っていません。これらの史料の整合性や信憑性を検証することで、黒田職隆の生涯像をより深く理解できる可能性があります。

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