黒田長成

黒田 長成（くろだ ながしげ）

黒田長成は、1867年6月7日に筑前国（現在の福岡県）で生まれた政治家および侯爵です。彼の父は福岡藩の最後の藩主である黒田長知であり、母は側室の隅田氏です。幼名は幸千代で、12歳の時に父の隠居に伴い黒田家の家督を相続しました。長成は、明治維新後に東京へ移住し、教育を受けるため慶應義塾に入学しましたが、1880年に中退し、留学の準備を始めました。1884年には侯爵位を授与され、翌年にはケンブリッジ大学に進学し、1887年に学士号を取得しました。

彼は政治の世界でも重要な役割を果たしました。1892年には貴族院議員に就任し、以後約30年間貴族院副議長を務めました。高度な政治的技能を持っていた彼は、多くの政治家や文化人と良好な交友関係を築きました。また、彼は書や詩を好み、自らの詩作活動にも力を入れた結果、多くの著作を残しました。特に『桜谷集』は彼の代表作の一つです。加えて、書道の技能を生かし、神社や寺院にも多くの揮毫を行いました。

黒田長成は明治天皇や大正天皇に信任を受け、特に黒田家に伝わる名刀「菊一文字」を明治天皇に献上したことで名を馳せました。彼はまた、豊臣秀吉を顕彰する「豊国会」の会長を務め、当地の神社の復興に尽力しました。さらに、菅原道真を讃える活動にも関わり、文化への貢献を果たしました。

彼の家族についても興味深い点があります。妻は島津清子であり、息子の黒田長礼は「日本鳥学の父」として知られています。また、孫の黒田長久も著名な鳥類研究者です。長成の教育者としての志向は、次世代にも受け継がれています。

彼の栄典も多く、従一位をはじめ、旭日桐花大綬章などの勲章を受け、貴族院議員在職四十五年表彰を受けるなど、長年にわたる政治的な業績が評価されています。なお、1939年に彼は73歳で亡くなり、東京都港区の青山霊園に葬られています。その命日には特に桜谷忌が催され、長成の功績を偲ぶためのイベントが行われています。

彼の人生は、明治から昭和にかけて変革期にあった日本における政治、文化、教育の発展と深く関わっており、今なお多くの人々に一つの指標として評価されています。

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