黒田長清

黒田長清（くろだ ながきよ）は、江戸時代前期に筑前国に存在した直方藩（のちの福岡新田藩）の初代藩主です。彼は、福岡藩主・黒田光之の五男として、寛文7年（1667年）に江戸の麻布藩邸で生まれました。

元禄8年（1688年）、兄である黒田綱政が本家の福岡藩を継いだ際、長清は筑前国の鞍手郡内に5万石を分与され、ここに福岡新田藩を立藩しました。これにより、長清は独立した大名としての地位を確立しました。

しかし、長清の人生は平穏なものではありませんでした。綱政の死後、本家の家督はその子である宣政が継ぎましたが、宣政は生まれつき病弱で政務を執ることができず、後継者もいませんでした。この事態を受け、長清の長男である継高が宣政の養嗣子となり、福岡藩の後継者として迎えられることになります。長清自身も宣政の後見人として、福岡藩の政務に関与することとなりました。これは、直方藩主としてだけでなく、福岡藩の藩政にも影響力を持つ立場になったことを意味します。

享保5年（1720年）2月23日、長清は江戸の麻布藩邸で54歳で亡くなりました。継高はすでに福岡藩を継いでいたため、他に後継者がいなかった直方藩は廃藩となり、その領地は福岡藩に返還されることとなりました。一代で終わった藩ではありましたが、黒田家の歴史において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

長清の供養塔は高野山奥の院にありますが、現在は荒廃が進み、創建当初の面影はありません。これは、直方藩が短期間で終わったこと、そして長清の死後、その存在が次第に忘れ去られていったことを象徴しているかのようです。しかし、黒田長清は、福岡藩の歴史、ひいては江戸時代の歴史を語る上で、決して忘れてはならない人物の一人です。彼の生涯は、大名家の家督争い、藩の興亡、そして時代の変化といった、様々な要素が複雑に絡み合っており、歴史の奥深さを教えてくれます。

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