黒田綱政

黒田綱政とは

黒田綱政（くろだ つなまさ）は、江戸時代中期の大名であり、筑前東蓮寺藩の3代藩主、後に筑前福岡藩の4代藩主となりました。万治2年（1659年）に福岡藩3代藩主・黒田光之の四男として誕生し、幼名は長寛（ながひろ）と名乗りました。

生涯

寛文3年（1663年）、叔父である東蓮寺藩2代藩主・黒田之勝に嗣子がなかったため、その養子となり東蓮寺藩を継ぎました。しかし、延宝5年（1677年）に兄の綱之が廃嫡されたことで、急遽、福岡藩の嫡子に選ばれ、綱政と改名しました。この際、東蓮寺藩は幕府に収公されています。

元禄元年（1688年）には、父・光之の隠居に伴い、福岡藩の家督を相続しました。この時、弟の長清に5万石を分与し、直方藩を立藩させています。綱政は、家老に隅田重時を登用し、父・光之時代の側近を排除することで藩主権力の強化を図りました。しかし、これが光之との対立を招き、また肥前佐賀藩との間で背振山を巡る国境論争が勃発しました。

さらに、財政改革のために藩札を発行しましたが、これが米価の高騰を招き、財政政策は失敗に終わりました。一方で、綱政は絵画を好み、狩野派の絵師である狩野昌運を御用絵師として召し抱えるなど、文化的な側面も持ち合わせていました。

正徳元年（1711年）、綱政は福岡で死去しました。享年53歳でした。お家騒動を恐れた家臣の隅田重時は、藩医に命じて遺体の防腐処置を行い、綱政の死を2ヶ月間隠蔽しました。遺体は黒田家の菩提寺である崇福寺に土葬されましたが、地下水の浸入を防ぐために石室と二重の木棺に囲まれた甕に納められました。また、綱政は京都の大徳寺龍光院に深く帰依していたため、遺髪は同寺に納められました。なお、長男の吉之は既に亡くなっており、家督は次男の政則（宣政）が継承しました。

昭和25年（1950年）、崇福寺の一部が宅地化された際、綱政の墳墓が発掘され、約240年ぶりにミイラ化した遺体が発見されました。遺体の筋肉は硬直しておらず、束髪やまつ毛、口髭が残っており、絹と麻の死装束も虫食いのない状態でした。調査後、遺体は包帯で梱包され、テレビン油で満たされた甕に納められ、黒田家の合墳に再埋葬されました。

系譜

父：黒田光之
母：市松姫（宝光院） - 小笠原忠真の長女
正室：呂久姫（心空院） - 立花鑑虎の養女、立花忠茂の八女
長男：黒田吉之
次男：黒田宣政
三男：黒田亀之助
側室：下谷氏
四男：黒田岩之助
側室：吉田氏
長女：久（萬） - 上杉吉憲正室
側室：藤井氏
五男：黒田竹松

まとめ

黒田綱政は、藩主として藩政改革に努める一方で、国境論争や財政問題に苦慮し、必ずしも順風満帆な藩主生活を送ったとは言えませんでした。しかし、文化人としての側面や、死後にミイラ化した状態で発見されたことは特筆すべき点であり、歴史に名を残す人物の一人と言えるでしょう。

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