黒衣の花嫁

『黒衣の花嫁』：愛と復讐のサスペンス

コーネル・ウールリッチ（ウィリアム・アイリッシュ）のミステリー小説『黒衣の花嫁』は、結婚式当日に婚約者を殺された花嫁が、関わった男たちへ復讐を遂げる物語です。後にフランスで映画化され、その衝撃的な内容と映像美で話題を呼びました。

出版情報

原書は1948年に出版され、日本では早川書房から1953年に初めて翻訳版が登場しました。その後も様々な出版社から翻訳版や児童向け সংস্করণが出版されています。

1953年：早川書房 Hayakawa Pocket Mystery
1963年：金の星社 少女・世界推理名作選集
1977年：文研出版 文研の名作ミステリー
1979年：春陽堂 少年少女文庫推理名作シリーズ ISBN 4323007043 （『黒衣の花よめ』）
1983年：早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫 ISBN 4150706042

漫画化

『黒衣の花嫁』は、そのドラマチックな展開から漫画化もされています。

わたなべまさこ：『炎のカメリア』として『週刊セブンティーン』で1969年 - 1970年に連載。1992年に書籍化。
花村えい子：主婦の友社の「TOMOコミックス 名作ミステリー」の1冊として1978年に『黒衣の花嫁』を出版。

映画：フランソワ・トリュフォー監督作品

1968年には、フランスの巨匠フランソワ・トリュフォーによって映画化されました。原題は「La mariée était en noir」（原作の仏題）。

ストーリー

物語は、ジュリー（ジャンヌ・モロー）とダヴィッド（セルジュ・ルソー）の結婚式当日、ダヴィッドが何者かに射殺される場面から始まります。愛する人を失ったジュリーは、復讐を誓い、ダヴィッドを死に追いやった5人の男たちを追い詰めていきます。

5人の男たちは、教会の向かい側の建物に集まり、酒に酔った勢いで風見鶏を撃とうとした際、誤って花婿を撃ってしまったのでした。ジュリーは5年かけて男たちの居場所を突き止め、一人ずつ、計画的に、そして美しく復讐を実行していきます。ブリスはテラスから突き落とされ、コラルは毒殺、モラーヌは窒息死させられます。モラーヌの死の間際、デルヴォーが実際に銃を撃ったことが判明しますが、彼は既に逮捕されていました。最後に残ったフェルギュスに近づきますが…。

キャスト

ジュリー：ジャンヌ・モロー
ダヴィッド：セルジュ・ルソー
ブリス：クロード・リーシュ
コラル：ミシェル・ブーケ
モラーヌ：ミシェル・ロンスダール
デルヴォー：ダニエル・ブーランジェ
フェルギュス：シャルル・デネル

映画におけるパロディ

トリュフォーは、映画の中に様々なパロディやオマージュを散りばめています。例えば、ジュリーがモラーヌを殺害後に搭乗する飛行機の便名は「813」。これはアルセーヌ・ルパンシリーズの一篇『813』に由来し、トリュフォー作品の常連となっています。また、フェルギュスが描いたジュリーの絵は、マネの『オランピア』のパロディです。

類似作品

『黒衣の花嫁』と同様に、復讐をテーマにした作品は数多く存在します。

喪服のランデヴー：ウィリアム・アイリッシュ名義の作品で、設定が男女逆転しています。
五瓣の椿：山本周五郎原作の時代劇で、娘が母親の仇を討ちます。
キル・ビル：タランティーノ監督作品。結婚式を襲撃された花嫁の復讐劇です。

『黒衣の花嫁』は、愛、喪失、そして復讐という普遍的なテーマを描いた、時代を超えて愛される傑作ミステリーです。トリュフォーの映画版と合わせて、ぜひ触れてみてください。

外部リンク

黒衣の花嫁 - allcinema
黒衣の花嫁 - KINENOTE
La Mariée était en noir - IMDb（英語）

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