鼓楼

鼓楼（ころう）について

鼓楼は、中国や日本をはじめとする東アジア文化圏で建造される、太鼓を配置する専用の建物です。この建物は、主に時間を知らせるためや緊急時の連絡役を果たしています。時には「太鼓楼（たいころう）」とも呼ばれることがありますが、類似の機能を持つ建物としては鐘楼やミナレットなどが挙げられます。

中国における鼓楼

中国では、鼓楼と鐘楼は一対の建物として扱われることが多いです。一般的に、鐘楼が東に、鼓楼が西に配置されており、早朝には鐘が鳴り、夕方には太鼓が打たれます。このように、「晨鐘暮鼓」と呼ばれる慣習が存在します。例えば、北京には鐘楼と鼓楼が北南に配置されているほか、山海関では一体的な構造を持つ楼閣として存在する例もあります。

南京市には明の洪武15年（1382年）に建設された鼓楼があります。これは昼夜の時報を主体に、王を迎える際にも利用されてきました。現在は鼓楼公園として整備されており、訪れる人々は鼓楼の2階で鐘や太鼓を鳴らすことができます。また、3階には昔の鼓楼の写真が展示され、南京の歴史を感じることができます。

西安に位置する鼓楼も明初の1380年に建立されており、清代に二度の修復を受けました。この鼓楼では、巨大な太鼓が設置されており、時を知らせる役割を果たしてきました。

日本における鼓楼

日本でも鼓楼、または太鼓楼と呼ばれる建物が、主に寺院や神社の敷地内に設置されています。これらの建物は、鼓楼（または鐘楼）一つだけのこともあれば、対となって配置されていることもあります。多くの場合、楼造で開口部が大きく作られており、太鼓の音が遠くまで響くように工夫されています。時計がない時代、太鼓や鐘で時を告げることが一般的でした。

日光東照宮にある鼓楼と鐘楼は1636年に建立され、国の重要文化財に指定されています。これらの建物は、金色や朱色を基調とした華麗な装飾が施され、当時の美術を感じさせるものです。

城郭の鼓楼

城郭内にも鼓楼の一種である太鼓櫓（たいこやぐら）が設けられています。この建物は日出と日没の際に開門の時刻を知らせる役割を持ち、城の防衛と統治に貢献してきました。通常は多重の楼閣形式が多く、姫路城のような平櫓は少数派です。太鼓櫓は装飾的な要素を持ち、多くの場合、華頭窓や欄干で飾られています。

現在、日本に現存する太鼓櫓としては姫路城のものや掛川城のもの、復元された広島城のものなどがあります。これらの建物は、日本の歴史と文化にとって重要な遺産として、今でも多くの人々に親しまれています。

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