龍光院 (京都市北区)

龍光院の詳細

龍光院（りょうこういん）は、京都府京都市北区に所在する臨済宗の寺院で、臨済宗大徳寺派の大本山である大徳寺の塔頭として位置づけられています。この寺院は、美しい建物や文化財を多数保有していますが、一般向けの公開は行っておらず、観光目的での拝観は許可されていません。

歴史

龍光院は、初代筑前福岡藩主の黒田長政が自身の父、黒田孝高（官兵衛・如水）の菩提を弔うために建てられました。作事奉行は黒田一成と黒田利長であり、寺院名は孝高の法名「龍光院殿如水円清大居士」に由来しています。実質的な開山は、春屋宗園であったものの、間もなく江月宗玩がその役割を引き継ぎました。江月宗玩は、小堀遠州とも親交があり、寺院内にあった孤篷庵の運営にも関わっていたとされます。

この寺には、長政の領地筑前博多や堺の豪商と関連する名物茶道具が多く伝わっており、これらは宗及の遺愛品などが引き継がれた結果と見られています。明治時代に入ると、廃仏毀釈や神仏分離令の影響により多くの建物が失われ、現在の姿になりました。また、明治初期に合併された寸松庵は、和歌の「寸松庵色紙」でも知られています。

建造物

書院

書院は国宝に指定されており、17世紀半ばの江戸時代前期に作られた寄棟造りとこけら葺きの建物です。特徴的な四畳半の茶室「密庵席（みったんせき）」は、書院風茶室のひとつで、遠州の作と伝えられています。密庵席は独立した茶室であった説や、黒田屋敷から移転されたとも言われています。

書院の間取りは、南側に十畳の「一の間」、八畳の「二の間」があり、北側には茶室や六畳の「三の間」が配置されています。この部分は1961年に国宝に指定され、その後2016年に追加指定が行われました。

本堂（昭堂）

本堂も重要文化財として保護されており、1649年に建立されました。寄棟造りで檜皮葺きの特徴があります。また、寮、小庫裏、盤桓廊（ばんかんろう）、兜門、禹門も重要文化財に指定されています。

黒田家霊屋

この霊屋は桃山期に建立されたもので、黒田孝高とその正室を祀ります。かつては火災で焼失した木像が伝わっていましたが、今は遺構が大切に保管されています。

文化財

龍光院内には多くの重要な文化財があります。書院や茶室の改築が多く行われていますが、特に茶室「密庵」は遠州流の好みに仕立てられています。この他、中国の唐代禅僧の墨蹟や、曜変天目茶碗なども国宝として評価されています。特に曜変天目茶碗は非常に稀少で、現存する国宝として3碗しかありません。

有栖川宮、吉川広家墓所

龍光院は明治維新まで高松宮と有栖川宮の菩提寺でもあり、歴代の墓所がここに存在します。また岩国藩主の吉川広家の菩提所となっており、その歴史的背景も豊かです。

アクセス

JR京都駅からは京都市バスで大徳寺前まで約30分、そこから徒歩でのアクセスとなります。寺院内部は非公開ですが、その歴史的価値や文化財についての興味深さは訪れる価値があります。

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