龍渓院

龍渓院の歴史と魅力

愛知県岡崎市の桑原町に位置する龍渓院（りゅうけいいん）は、曹洞宗に属する寺院であり、豊かな自然環境と深い歴史を誇る場所です。本寺院は1444年、豪族の土井九郎左衛門がその開基となり、約60ヘクタールの山林と1ヘクタールの田畑を寄進して伽藍を建立しました。その後、茂林芝繁禅師を招いて開山され、静岡県森町の大洞院に属する寺院として発展しました。

しかし、1544年に起きた火災によって寺院は焼失してしまいます。その後、1550年に松平広忠の尽力により本堂が再興され、寺院は再びその姿を取り戻しました。1602年には、徳川家康から朱印地20石の授与を受け、ますます発展を遂げます。

1687年には江南和尚による寄進で経堂が建設され、1691年には山門も設けられました。さらに、龍渓院は末寺に多くの徳川譜代大名の香華所を抱え、この地域における禅宗信仰の中心的な役割を果たしています。明治時代からは独住制となり、寺院としての独立性を高めています。

境内を訪れると、参道の左手に位置する樹齢200年を超える杉の大木が約20メートルの高さでそびえ立っているのが目を引きます。右手の崖には苔むした十六羅漢像が立ち並び、静寂な雰囲気を醸し出しています。龍渓院は元々池を埋め立てた場所に建てられたため、その湿気により豊富な苔が育成されており、「岡崎の苔寺」としての名でも知られています。この豊かな自然環境と信仰が融合した空間は、訪れる人々に深い感動を与えています。

交通手段としては、名鉄名古屋本線の「東岡崎駅」から、名鉄バスで奥殿陣屋行きに乗り、「桑原」停留所で下車し、そこから徒歩約10分の距離です。自然に囲まれた歴史的な空間である龍渓院は、訪れる人に癒しと深い精神的体験を提供してくれる場所です。歴史と自然、信仰が調和したこの寺院を訪れ、ぜひその魅力を肌で感じてみてください。

もう一度検索