龍潭寺 (浜松市)

龍潭寺の紹介

静岡県浜松市浜名区に位置する龍潭寺（りょうたんじ）は、臨済宗妙心寺派に属する重要な寺院です。山号は万松山であり、本尊には虚空蔵菩薩が安置されています。この寺は、豊かな水源に恵まれた井伊谷という場所に立地し、多くの歴史的出来事と深い関係があります。

歴史的背景

龍潭寺の歴史は古く、伝えによれば天平5年（733年）に行基によって創建されたとされています。初めは地蔵寺という名で知られていましたが、寛治7年（1093年）に井伊共保がこの場所に埋葬されることに伴い、自浄寺に名を改めました。この寺は平安時代から井伊氏の菩提寺となっており、特に元中年間（1384年 - 1392年）には宗良親王が中興したと伝えられています。

井伊氏の祖先である共保公の生誕地として知られる「井伊共保公出生の井戸」も南側の田んぼの中に残っています。さらに、永正4年（1507年）には井伊直平が黙宗瑞淵を招いて、寺号が龍泰寺に改称されました。戦国時代の1570年代、井伊家の22代当主井伊直盛が「桶狭間の戦い」で戦死し、その戒名から龍潭寺の名前が付けられました。この地域の水が豊富であることから語られる「龍」の字は、水神の象徴でもあります。

井伊氏との関係

直盛の死後、彼の子である井伊直親が後を継ぎ、さらに直親の娘である直虎が井伊家を取り仕切りました。彼らの墓は近接しており、井伊氏の歴史を物語っています。また、井伊直政が小牧・長久手の戦いに出陣した際、寺に伝わる「日月松有之金銀の扇子」を受け取ったとされ、この扇子が戦の勝利を導いた要因となりました。

関ヶ原の戦いで井伊氏が勝利を収めた際、井伊家は近江国に転封されましたが、龍潭寺はその後も井伊氏の外護を受け続け、江戸幕府からも朱印状が授与されるなど、重要な文化的、歴史的地点となっていきました。

文化財

龍潭寺には、国指定の名勝として評価された美しい庭園が存在します。この庭は池泉鑑賞式庭園であり、小堀遠州の作庭と伝えられています。昭和11年（1936年）に名勝として指定されました。さらに、国指定の重要文化財には、宋版錦繍万花谷の3冊や、静岡県指定の有形文化財である本堂、庫裏、山門、開山堂といった構造物が含まれています。また、「紙本金地著色遊楽図」という六曲一双の文化財も重要視されています。

アクセスと周辺情報

龍潭寺へは、遠鉄バスの「神宮寺」バス停から徒歩10分の距離にあります。また、浜松市の自主運行バスでも「龍潭寺」というバス停があり、徒歩5分ほどで到達可能です。車でのアクセスでは、浜松西ICから約20分の距離です。周囲には井伊谷城や井伊谷宮などの歴史的なスポットも点在し、訪れる人々に多彩な体験を提供します。

静岡の豊かな文化と歴史を感じることができる龍潭寺は、訪れる価値があるスポットです。

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