井伊谷宮

井伊谷宮について

井伊谷宮（いいのやぐう）は、静岡県浜松市浜名区引佐町井伊谷に位置する神社です。旧社格は官幣中社であり、建武中興十五社の一社として知られています。

概要

明治維新後、建武中興に貢献した南朝方の人物を祀る神社が多数創建されました。その一つがこの井伊谷宮です。祭神は後醍醐天皇の第四皇子であり、南北朝時代に征東将軍として活躍した宗良親王です。神社の背後には親王の墳墓があり、神紋として用いられている李花紋は、歌人としても知られる親王の家集『李花集』に由来しています。

社名の由来

創建当初は「宗良親王御社」と呼ばれていましたが、明治5年（1872年）1月23日に地名から「井伊谷宮」と改称されました。

歴史

宗良親王は建武中興期に南朝方の皇族として関東各地を転戦し、元中2年（1385年）8月10日に井伊谷で薨去しました。その地に親王の墓所が設けられました。
親王が井伊谷に滞在中、領主の井伊道政と井伊高顕に助けられたという伝承があります。明治2年、末裔の井伊直憲（彦根藩知事）が宗良親王を祀る神社の創建を願い出て、明治天皇の勅許を得ました。明治5年（1872年）2月12日には、神祇省の役人によって鎮座祭が執り行われました。

当初、社格はなく、神官も置かれず、宮内省式部寮の役人が祭祀を執り行っていました。しかし、明治6年（1873年）6月9日には白峯宮（白峯神宮）、鎌倉宮とともに官幣中社に列せられました。

年表

明治2年（1869年） - 宗良親王を祭る神社の創建が決定。
明治5年（1872年）1月23日 - 宗良親王御社を井伊谷宮と改称。
明治6年（1873年）
6月9日 - 官幣中社に列格。
12月4日 - 竜潭寺塔頭廃寺跡を社地とし、600坪を宗良親王の墓地に決定。
明治11年（1878年）10月28日 - 静岡県令大迫貞清が井伊谷宮奉幣使として参向。

境内

境内には以下の摂末社があります。

井伊社 - 祭神：井伊道政、井伊高顕
祭神とゆかりが深く、特に摂社として祀られています。

その他

宗良親王墓
宮内庁指定。通常、陵墓は南面しますが、この墓は平安京の方角を向いて西面しているのが特徴です。

文化財

重要文化財
太刀 銘国綱

アクセス

公共交通機関
浜松駅バスターミナル15番のりばから45奥山線「奥山行き」に乗車、「神宮寺」バス停下車。
自動車
東名高速道路浜松西ICから約20分。

参考文献

『太政類典』、国立公文書館デジタル・アーカイブ
岡田米夫「神宮・神社創建史」、松山能夫・編『明治維新神道百年史』第2巻、神道文化会、1966年。

外部リンク

* 井伊谷宮 - 公式サイト

この井伊谷宮は、歴史と文化が息づく場所であり、訪れる人々に深い感動と安らぎを与えてくれるでしょう。

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