龍野神社

龍野神社：龍野藩の祖を祀る歴史ある神社

兵庫県たつの市龍野町に鎮座する龍野神社は、郷社として、地域の人々に親しまれてきた神社です。特に注目すべきは、その祭神である脇坂安治公です。脇坂安治は、賤ヶ岳の七本槍の一人として知られる龍野藩の初代藩主であり、龍野神社は、彼を祀る廟として創建されました。

由緒ある創建と歴史

龍野神社の創建は、文久2年(1862年)にまで遡ります。当時、龍野藩第9代藩主であった脇坂安宅が、江戸汐留藩邸から脇坂安治公を祀る廟を、現在の場所である脇坂家上屋敷(現・聚遠亭)の隣に移転建立しました。その後、明治8年(1875年)9月には郷社に列せられ、地域における重要な神社としての地位を確立しました。

祭神と境内

主祭神は、龍野藩初代藩主の脇坂安治公(建安治主神、武安治公霊、建安治主大明神とも称される)です。脇坂安治公の武勇と功績を称え、人々の信仰を集めてきました。

配祀神としては、宇迦之御魂命、誉田別命、天御中主命、迦具都知命、野見宿祢命など、多くの神々が祀られています。境内には、本殿、拝殿の他に、野見宿禰神社、玉嶋稲荷神社といった合祀社や、城山八幡宮、粟島神、水天宮などの摂社も存在し、神域全体に神聖な雰囲気が漂っています。

貴重な文化財

龍野神社には、歴史的価値の高い文化財が伝わっています。特に、市指定文化財である「縹糸威布袋菖蒲蒔絵仏胴」と「伊予札縹糸下散紅威胴丸具足」は、いずれも脇坂安治公所用の甲冑と伝えられています。

「縹糸威布袋菖蒲蒔絵仏胴」は、黒漆塗りの胴に、狩野探幽が描いたとされる布袋と菖蒲の絵が金蒔絵で施された豪華な甲冑です。豊臣秀吉から拝領したという伝承も残っています。「伊予札縹糸下散紅威胴丸具足」は、菊や唐獅子、脇坂家家紋である輪違い紋が金蒔絵で施された、精緻な作りが特徴です。これらの貴重な甲冑は、現在、たつの市立龍野歴史文化資料館に大切に保管・展示され、多くの人々がその歴史的価値に触れることができます。

アクセスと周辺環境

龍野神社は、JR姫新線本竜野駅から徒歩25分、またはタクシーで8分の場所にあります。周辺には、龍野公園、聚遠亭、龍野城跡など、歴史的な観光スポットが点在しており、龍野神社を起点に、たつの市の歴史と文化を満喫できる散策コースを計画することも可能です。龍野神社は、歴史と自然、そして文化が調和した、魅力的な場所と言えるでしょう。

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