007/私を愛したスパイ

007／私を愛したスパイ

『007／私を愛したスパイ』（原題: The Spy Who Loved Me）は、1977年に公開されたスパイ・アクション映画で、ルイス・ギルバートが監督を務め、イオン・プロダクションズによる「ジェームズ・ボンド」シリーズの第10作目です。原作はイアン・フレミングの同名小説です。

概要

本作は、シリーズの15周年と10作目を祝うメモリアルな作品であり、ロジャー・ムーアがボンド役を演じる中で最も愛された作品の一つとされています。特に注目すべきは、これまで毎年または一年おきに制作されてきたシリーズが、初めて3年間の空白を経て復活した点です。その理由には、シリーズのプロデューサー、ハリー・サルツマンの離脱、作品の興行不振、リメイク訴訟などの複雑な事情が絡んでいました。これらの障害を乗り越え、ブロッコリと製作陣は、本作を完成させました。

ストーリーは、派手なアクションと秘密兵器の使用を前面に押し出したスペクタクル・アドベンチャーとなっています。過去の作品同様に、敵の機材や設定の類似性も見られる一方で、本作はシリーズの中でも特に高い人気を誇ります。

ストーリー

物語は、核ミサイルを搭載したイギリス海軍の潜水艦「レンジャー」とソ連の「ポチョムキン」が音信不通になるところから始まります。ボンドは調査を命ぜられ、カイロに向かいます。そこで、同じ任務を受けたロシアのスパイ、アニヤ・アマソワKGB少佐と出会い、二人は共同で任務を遂行することになります。しかし、ボンドはアニヤの恋人であったソ連の暗殺者を倒すことで、彼女との関係が複雑化します。

ボンドとアニヤは、巨大なタンカー「リパラス号」に接近し、ストロンバーグという大富豪が暗躍していることを発見します。ストロンバーグは奪った潜水艦で米ソ双方を攻撃し、核戦争を引き起こそうと企てています。ボンドとアニヤは、ストロンバーグの野望を阻止するために立ち上がります。

キャスト

• - ジェームズ・ボンド: ロジャー・ムーア
• - アニヤ・アマソワ: バーバラ・バック
• - カール・ストロンバーグ: クルト・ユルゲンス
• - ジョーズ: リチャード・キール
• - M: バーナード・リー
• - Q: デスモンド・リュウェリン
• - マネーペニー: ロイス・マクスウェル

音楽

本作の主題歌「私を愛したスパイ」（Nobody Does It Better）はカーリー・サイモンが歌い、大ヒットとなりました。音楽はマーヴィン・ハムリッシュが担当し、音響はシリーズ初のドルビー・ステレオで収録されました。

興行成績

制作費は前作の2倍以上の1400万ドルで、世界興行成績は約1億8540万ドルに達しました。日本では、同年度の映画配給収入においても高い評価を得ました。

エピソード

アニヤ・アマソワはボンドガール史上、初めてボンドと対等に立ち向かう存在です。このキャラクターは、特異な魅力と強さを持ちながら、物語が進むにつれて従来のボンドガールの典型的な役割に戻ることになります。また、カーリー・サイモンの主題歌は、多くの映画で使用され続け、その人気を保っています。

撮影

この映画には、スイスアルプスやエジプトのカイロでのロケが含まれ、視覚的にも印象深い作品となっています。特に、ストロンバーグの海中基地は沖縄の海洋博を参考にしたデザインです。

『007／私を愛したスパイ』は、そのストーリーやキャラクターに加え、音楽や視覚効果においても革新的な要素を取り入れ、ボンドシリーズの新たな方向性を示した作品です。

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