1228

映像作品『1228』（イチ・ニー・ニー・ハチ）

『1228』は、日本のロックミュージシャン、吉井和哉が2018年にリリースした記念碑的な映像作品です。彼のソロキャリアにおける重要な期間に焦点を当てた、10枚組からなるBlu-ray Discのボックスセットとして発表されました。

作品概要

本作のタイトルである「1228」は、吉井和哉がシンガーとして正式にキャリアをスタートさせた記念日、12月28日に由来しています。この特別な日に、彼は長年にわたり日本武道館で単独公演を行ってきました。このボックスセットには、2006年から2015年にかけて、この聖地・日本武道館で開催されたライブパフォーマンスから、実に10年分、10公演が厳選され、収録されています。ただし、2013年の公演に関しては、例外的にマリンメッセ福岡でのライブが収められています。

この期間は、吉井和哉のソロ活動における一つの区切りでもありました。2016年以降、彼がフロントマンを務めるバンドTHE YELLOW MONKEYが再集結したことに伴い、ソロ名義でのライブ活動は一時休止されていました。その後、彼は2021年に約6年ぶりに日本武道館でのソロ公演を成功させています。本作品は、まさにその活動休止直前までの10年間の集大成であり、ソロアーティストとしての彼の軌跡、音楽性の変遷、そしてライブパフォーマンスの進化を追体験できる貴重な記録と言えるでしょう。

収録内容

全10枚のBlu-ray Discには、各年の12月28日に行われた単独公演がそれぞれ収められています。これにより、ファンは時期ごとのセットリストの変化、アレンジの違い、そしてその時々のバンドメンバーとのケミストリーが生み出すパフォーマンスの違いを楽しむことができます。10年という長期にわたる記録であるため、彼の声質の変化や、ライブ演出のスタイルの変遷など、多角的な視点から吉井和哉のアーティストとしての成長を見守ることができます。特定の公演しか体験できなかったファンはもちろん、この時期のライブをリアルタイムで知らないリスナーにとっても、彼のソロキャリアのハイライトを知る上で欠かせない作品となっています。

参加ミュージシャン

吉井和哉自身がボーカルとギター（エレクトリック・ギターおよびアコースティック・ギター）を担当するのはもちろんのこと、彼のライブパフォーマンスを支えたサポートミュージシャンたちも、この作品において重要な役割を果たしています。10年という期間には、様々な名プレイヤーたちが彼のバンドに参加しており、時期によってその顔ぶれは変化しています。これは、各公演が持つ独特のサウンドやグルーヴにも大きく影響を与えています。

主要な参加ミュージシャンとしては、エレクトリック・ギターに日下部正則（DISC1,2,4-10）、菊地英昭（DISC1,3）、ジュリアン・コリエル（DISC2-5,10）、生形真一（DISC6-8）。ベースには三浦淳悟（DISC1-3,5-10）、ジャスティン・メルダル・ジョンセン（DISC4）。ドラムは鈴木敬（DISC1）、城戸紘志（DISC2,3）、ジョシュ・フリーズ（DISC4）、そして長きにわたり吉井サウンドを支えた吉田佳史（TRICERATOPS）（DISC5-10）。さらにキーボードは鶴谷崇が全てのディスクに参加しています。これらの多様な才能が集結し、吉井和哉の音楽世界を豊かなサウンドで表現しています。歴代のバンドメンバーの変遷を追うことも、このボックスセットの楽しみ方の一つと言えるでしょう。

作品の価値

『1228』は単なるライブ映像集に留まらず、吉井和哉のソロアーティストとしての歴史、特に彼のシンガーキャリアの根幹をなす12月28日という特別な日に捧げられた集大成です。ここには、彼が表現者としてどのように進化してきたのか、どのような音楽的試みを行ってきたのか、そしてオーディエンスとどのように向き合ってきたのかが克明に記録されています。ファンにとっては、これらの映像を通じて当時の感動を再び味わうことができ、また彼の音楽を知る上で非常に重要な資料ともなり得ます。吉井和哉のソロワークにおける、まさにマイルストーンと呼ぶべき作品です。

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