1877年のメジャーリーグベースボール

1877年のメジャーリーグベースボール：激動と変革の年

1877年、メジャーリーグベースボール（MLB）は、ナショナルリーグを中心に様々な出来事が起こりました。前年にリーグから除名された2球団の影響で6球団での開幕となり、シーズン中には球団の財政問題も発生するなど、リーグ運営は安定していたとは言えませんでした。しかし、その中でボストン・レッドキャップスがリーグ優勝を果たし、個人の活躍や規則の変更など、後のMLBに繋がる重要な出来事も数多くありました。

リーグの動向とボストン・レッドキャップスの躍進

1876年に創設されたナショナルリーグは、2年目を迎えたこの年、早くも運営の難しさに直面します。シーズン開幕前に2球団が除名され、シーズン中にはシンシナティ・レッズがリーグ分担金の支払いを滞り、一時的に加盟権を失うという事態が発生しました。しかし、そのような状況下でも、ボストン・レッドキャップス（後のアトランタ・ブレーブス）が躍進を見せ、リーグ優勝を果たしました。レッドキャップスは、ディーコン・ホワイトとトミー・ボンドという2人のスター選手を擁し、他を圧倒する強さを見せました。

野球賭博事件と選手の不正行為

この年、MLBを揺るがす大きな事件が発生します。ルイビル・グレイズに所属するジム・デブリン、ジョージ・ホール、ビル・クレイバー、アル・ニコルズの4選手が野球賭博に関与し、故意に試合を負けるよう画策していたことが発覚しました。球団は直ちに4選手を解雇し、ナショナルリーグ会長は彼らを永久追放処分としました。この事件は、後のブラックソックス事件よりも40年以上前に発生した、MLBにおける初期の不正行為として記録されています。

選手の年俸と審判の報酬

1877年の選手の年俸は、最高額でも2,000ドルでした。現代のMLBの年俸と比較すると、その差は歴然としています。また、審判の報酬は1試合あたり5ドルでした。この金額からも、当時のプロ野球がまだ黎明期であったことが伺えます。

ディーコン・ホワイトの活躍

ボストン・レッドキャップスの内野手、ディーコン・ホワイトは、1870年代のMLBを代表する選手の一人です。1873年にボストン・レッドストッキングス（レッドキャップスの前身）に入団し、ナショナル・アソシエーション時代には首位打者を獲得しました。1876年にはシカゴ・ホワイトストッキングスに移籍し、最多打点を記録してチームのリーグ初優勝に貢献。そして1877年、古巣のレッドキャップスに復帰すると、打率.387で再び首位打者に輝き、安打数、打点、三塁打数の3部門でリーグトップの成績を残し、チームの初優勝に大きく貢献しました。

トミー・ボンドの投手三冠

同じくレッドキャップスのトミー・ボンド投手は、この年、40勝、防御率2.11、奪三振170という驚異的な成績を記録し、ナショナルリーグ初の投手三冠王に輝きました。ボンドの活躍は、レッドキャップスの優勝に不可欠であり、彼の名前はMLBの歴史に深く刻まれています。

規則の改訂

1877年には、野球規則にもいくつかの変更がありました。その中でも重要なのは、15インチ平方のベースが登場したことと、打者にとって有利な球が来ない場合に、打者の選択と審判の判断で一塁に進むことができるようになったことです。この規則は、後の「九球」制度、そして現在の「四球」制度の原型となりました。

まとめ

1877年のMLBは、リーグ運営の不安定さ、野球賭博事件の発覚、スター選手の活躍、規則の変更など、様々な出来事が重なった激動の年でした。この年の出来事は、MLBの歴史において重要なターニングポイントとなり、後のMLBの発展に大きな影響を与えました。

参考資料

『アメリカ・プロ野球史』鈴木武樹 著
『米大リーグ 輝ける1世紀～その歴史とスター選手～』週刊ベースボール
『誇り高き大リーガー』八木一郎 著
『大リーグへの招待』池井優 著

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