1891年の映画

1891年の映画界の動向

1891年は映画史上において画期的な年であり、多くの技術革新や作品、映画関係者の誕生がありました。この年の映画界の出来事を振り返り、どのような影響を与えたのか見ていきましょう。

技術革新

この年、トーマス・エジソンのもとで活動していたウィリアム・K・L・ディクソンは、ストリップ式のキネトグラフを開発しました。これは特別な3/4インチのフィルムを使用し、これまでの縦送りとは異なり水平方向にコマを送るという新しい方式です。この新技術は、映画製作における重要な進展として位置づけられています。1891年の春までに、ディクソンはウィリアム・ハイセと共にこの装置を用いていくつかのフィルムを撮影しました。

また、5月20日にはエジソンがニュージャージーにあるエジソン研究所で女性クラブ連盟のメンバーに向けて、キネトスコープのプロトタイプを公開しました。ここで上映された作品は『ディクソンの挨拶』であり、観客に新たな映画体験を提供しました。

さらに、7月27日にはフランスの技術者ジョルジュ・ドゥメニーが開発したフォノスコープが科学アカデミーで紹介されました。この装置もまた、映像と音を結びつける新たな試みとして注目を集めました。

エジソンは同年8月24日、キネトスコープ及びキネトグラフに関する特許を申請しました。申請した内訳には「運動する被写体の写真を見せる装置」や「キネトグラフ・カメラ」といった重要な技術が含まれており、これにより映画産業の基盤を固めていくこととなります。

主な映画作品

1891年には、いくつかの重要な映画作品も登場しました。中でも『ディクソンの挨拶』はウィリアム・K・L・ディクソンが自ら出演し、監督も務めた初期の短編映画となります。

他にも、ディクソンとハイセによる作品が多く、例えば『Duncan and Another, Blacksmith Shop』や『Duncan Smoking』などが制作されました。これらの作品は、映画がどのように発展し、初期の映像芸術が形作られていく過程を示しています。

また、エティエンヌ＝ジュール・マレーによる『La vague』や、同じくマレーが監督した『Two Fencers』など、フランスからの影響も鑑みると、国際的な映画制作の動きが加速していることが伺えます。

映画関係者の誕生

1891年は映画界の著名な人々の誕生も見られる年でした。1月15日にはデンマークの俳優アルネ・ウィールが、2月9日にはアメリカの俳優ロナルド・コールマンが、さらに多くの有名な映画人がこの年に生まれました。特にアメリカの俳優エドワード・アーノルド（2月18日生まれ）や、カナダの俳優ジーン・ロックハート（7月18日生まれ）など、後に映画界に多大な影響を与える人材が登場しました。

このように、1891年は映画技術の進歩、作品の発表、そして映画界の人々の世代交代が同時に起こった、非常に重要な年となっています。映画の発展が今後も続く中で、これらの出来事がどのように結実していくのか、非常に期待が持てる年でもありました。

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