1902年のメジャーリーグベースボール

1902年のメジャーリーグベースボール：変革と記録の年

1902年のメジャーリーグベースボール（MLB）は、数々の出来事が野球史に足跡を残したシーズンでした。4月17日に開幕し、10月5日に全日程を終えたこの年、ナショナルリーグではピッツバーグ・パイレーツが2年連続2度目の優勝を飾り、アメリカンリーグではフィラデルフィア・アスレチックスが初の栄冠に輝きました。また、ミルウォーキー・ブルワーズがセントルイスに移転し、セントルイス・ブラウンズとして新たなスタートを切りました。

ルーブ・ワッデルの才能が開花

ルーブ・ワッデルは、その奇行が原因で複数の球団を渡り歩いた後、1902年にフィラデルフィア・アスレチックスへ移籍。コニー・マック監督の下で才能を開花させました。ナップ・ラジョイの移籍問題で揺れていたアスレチックスが、シカゴ・カブスから獲得したワッデルは、この年最多奪三振（210）を記録。以後6年連続で最多奪三振のタイトルを獲得し、1905年には投手三冠にも輝くなど、チームを牽引しました。マック監督は後に彼を「チーム史上最高の投手だった」と評しています。

ジャック・チェスブロ、スピットボールで最多勝

ピッツバーグ・パイレーツのジャック・チェスブロは、4年目のシーズンを迎えました。前年には21勝を挙げ、チームの初優勝に貢献。この年はさらに28勝を挙げ、最多勝のタイトルを獲得し、パイレーツをリーグ連覇に導きました。この年からスピットボールを投球に取り入れ、その効果もあって圧巻の成績を残しましたが、後にスピットボールは禁止されることになります。

コニー・マック監督、アスレチックスを初優勝に導く

アメリカンリーグでは、フィラデルフィア・アスレチックスがリーグ加盟2年目で初優勝を果たしました。監督を務めたコニー・マックは、選手としての評価は高くありませんでしたが、指導者としての手腕を発揮。痩身ながらも冷静な采配でチームをまとめ上げ、初優勝に導きました。彼はウェスタンリーグ会長のバン・ジョンソンにその才能を見出され、アメリカンリーグ創設時にアスレチックスの監督兼共同オーナーに迎えられました。以後50年間、背広姿で指揮を執り続けました。

バン・ジョンソンとジョン・マグローの対立

バン・ジョンソンは、アメリカンリーグのもう一つの目玉としてジョン・マグローを迎え入れました。マグローはボルチモア・オリオールズの監督兼三塁手として参加しましたが、ジョンソンとの間には当初から対立が生じていました。マグローのラフプレーを厭わない姿勢と、ジョンソンの厳格なルール適用を目指す方針が衝突し、さらにボルチモアからニューヨークへの本拠地移転問題が決定的な対立を生みました。マグローはシーズン途中にナショナルリーグのニューヨーク・ジャイアンツへ鞍替えし、その後オリオールズの選手大量引抜き事件が発生。最終的にオリオールズはニューヨークへ移転し、ニューヨーク・ヤンキースとして新たな歴史を歩み始めました。

ビル・コーリンの隠し球

デトロイト・タイガースのビル・コーリン三塁手は、この年に3回隠し球を成功させました。彼は生涯で計9回の隠し球を成功させており、これはメジャーリーグの個人最高記録とされています。また、1907年のワールドシリーズでも隠し球を成功させており、これはワールドシリーズ唯一の記録です。

1902年のMLBは、選手の活躍、チームの変遷、そして記録の誕生など、様々な出来事が交錯した記憶に残るシーズンとなりました。

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