五種競技

五種競技 (Pentathlon)

五種競技は、5種類の陸上競技から構成される混成競技で、古代と近代で異なる形式が存在します。この競技は、参加者の多才な運動能力を試すものであり、古代オリンピックから始まり、今に至るまで広く親しまれています。

古代オリンピックの五種競技

紀元前708年に開催された古代オリンピック第18回大会から始まった五種競技は、当初、走幅跳、円盤投、スタディオン走（180メートル）、やり投、レスリングの5種目で構成されていました。競技者は各種目で得点を競い合い、最後のレスリングで総合的な勝者が決まる仕組みでした。この競技形式では、種目ごとに選手が合格ラインを設けて絞られていき、最終的にレスリングで勝利した選手が全体の優勝者に決まるという説があります。一方で、レスリングを含む3つの種目の勝者を総合優勝者とする考え方も存在しました。

近代オリンピックにおける五種競技

近代オリンピックでは、五種競技は別名「近代五種競技」として知られ、1912年のストックホルムオリンピックから正式種目となりました。男子の競技は、ストックホルム、アントワープ（1920年）、パリ（1924年）の3大会で実施され、走幅跳、円盤投、200メートル、1500メートル、やり投の5種目が1日内に競われました。

女子の五種競技は、1964年の東京オリンピックから1980年のモスクワオリンピックまでの5回の大会で行われました。競技種目は80メートルハードル（後に100メートルハードルに変更）、砲丸投、走高跳、走幅跳、200メートルの5種目で構成され、2日にわたって実施されました。1984年のロサンゼルスオリンピックでは競技種目から外れ、代わりに七種競技が採用される結果となりました。

室内陸上競技における五種競技

現代において女子の正式な種目として行われているのが室内陸上の五種競技です。この競技は、60メートルハードル、走高跳、砲丸投、走幅跳、800メートルの5つの種目から構成されています。

記録

世界記録

現時点での世界記録は、ナタリア・ドブルインスカ（ウクライナ）が2012年に達成した5013点です。各種目の記録は次の通りです。

• - 60mハードル: 8秒38
• - 走高跳: 1m84
• - 砲丸投: 16m51
• - 走幅跳: 6m57
• - 800m: 2分11秒15

日本記録

日本国内の記録は中田有紀が2007年に達成した4073点で、各種目の記録は以下の通りです。

• - 60mハードル: 8秒69
• - 走高跳: 1m69
• - 砲丸投: 11m61
• - 走幅跳: 5m82
• - 800m: 2分22秒01

関連するスポーツ

五種競技に関連する競技には、七種競技、十種競技、バイアスロン、トライアスロンなどがあります。これらは異なるスポーツではあれど、同様に多様な運動能力を必要とし、選手の総合的な実力を試す点で共通しています。

五種競技は、歴史的背景と現代におけるその進化を通じて、選手たちの挑戦を続ける競技としてスポーツ界の中で重要な役割を果たしています。

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