1920年の日本公開映画

1920年の日本における映画公開

1920年、すなわち大正9年にあたるこの年は、1月1日から12月31日までの一年間にわたり、多様な商業映画が日本の各劇場で公開されました。この時期の日本の映画界は、輸入される外国映画によって大きく彩られており、特にアメリカ製作の作品がその中心を占めていました。本項目では、この年に日本国内で上映された主な作品やその公開状況について概観します。

主な公開作品と製作国

この年に日本で公開された映画の大部分は外国製であり、提供された情報からも、アメリカ合衆国で製作された作品が圧倒的に多数を占めていたことがわかります。作品名の隣に括弧書きで示されているのが製作国ですが、リストにあるほとんどの作品が「アメリカ」となっています。

例えば、年明け早々の1月1日にはアメリカ映画の『自然の娘』が、1月3日には『切望』が帝国館で公開されています。また、キネマ倶楽部では1月5日に『悪魔の足跡』が公開されるなど、年始から活発な上映が行われていました。1月中に公開された作品だけでも、『黎明』、『電光石火の侵入者』、『ダフヌと海賊』、『熱情』、『偽紫』、『アラスカの地獄犬』、『深夜の人』、『粧へる女』、『春の囁』、『山家の娘』、『曲馬団のポリー』といった多くの作品がリストに挙げられています。これらの多くがアメリカ映画です。

アメリカ以外の国の作品も一部公開されており、例えばイタリア製作の『不滅の血族』が1月16日にキネマ倶楽部で、またデンマーク製作の『火星旅行』が7月15日に帝国館で公開された記録が見られます。しかし、全体的な傾向としては、アメリカ映画が当時の日本における映画公開の主流であったと言えます。

公開時期と上映形態

1月から2月にかけては、特に多数の作品が集中して公開されています。1月にはほぼ毎日、複数の劇場で新作が封切られていた様子がうかがえます。2月に入ってもその勢いは衰えず、『落日の山道』、『第一の聲』、『狭き道』、『三箇のトランク』、『アルプス颪』、『誰が夫?』、『沈黙の人』、『砂漠の人影』、『恋の投縄』、『其夜の乙女』、『運命の玩具』、『新ヂャンダーク』、『ホーム』、『胸裡』、『覚醒の女』といった作品が、帝国館、キネマ倶楽部、電気館、千代田館などの劇場で上映されました。

当時の上映形態としては、複数の作品を一度に上映する「同時上映」が一般的であったことが、リストからも確認できます。例えば、1月5日にはキネマ倶楽部で『悪魔の足跡』と『良妻賢母』が、1月11日には電気館で『電光石火の侵入者』と『ダフヌと海賊』が同時に公開されています。また、連続活劇（シリアル）の形式も存在し、1月11日の『電光石火の侵入者』や1月16日の『幽霊騎手』は「連続映画の初回」として公開された記録が見られます。このように、一つの興行で複数の作品が提供されたり、物語が回を追って展開されたりする上映方法が採られていました。

主な公開劇場

この年に多くの映画が上映された劇場としては、帝国館、キネマ倶楽部、電気館、そして千代田館といった名称がリストに頻繁に登場します。これらの劇場は、当時の日本の都市部における主要な映画上映拠点であり、最新の洋画が観られる場所として多くの観客を集めていたと考えられます。

年間の全体像

提供されたリストは1月、2月、そして7月の一部のみですが、実際には年間を通して多くの映画が公開されていました。日本映画データベースによれば、1920年に日本国内で公開された作品は合計で264作品に上るとされています。これは、リストに掲載されている作品がごく一部であり、他の月にも多数の映画が上映されていたことを示唆しています。

1920年は、特にアメリカを中心とした多様な外国映画が日本に紹介され、当時の日本の映画文化を形成する上で重要な役割を果たした一年であったと言えるでしょう。

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