1936年度の将棋界

1936年度将棋界：激動の時代と新たな一歩

1936年度（昭和11年度）の将棋界は、数々の出来事が発生し、大きな転換期を迎えた一年となりました。若き才能の台頭、長年の確執の終焉、そして新たなタイトルの誕生など、現代将棋界に繋がる重要な出来事がこの一年に凝縮されています。

升田幸三の躍進: まず注目すべきは、升田幸三の活躍です。4月には四段に昇段し、中外商業新報主催の棋戦で7連勝という快挙を達成しました。さらに11月には、東京で開催された同紙主催の五段登竜門戦でも全勝優勝を果たし、12月には五段昇段を果たすという、まさに破竹の勢いを見せつけました。この活躍は、後の将棋界に大きな影響を与えることになります。

将棋界の統合: 長らく分裂していた将棋界は、6月29日に神田事件を契機として全面和解に至りました。日本将棋連盟（旧）、日本将棋革新協会、十一日会といった組織が解散し、「将棋大成会」という新たな組織が結成されました。これは、将棋界の統一と発展にとって極めて重要な出来事であり、後の発展の礎となりました。

名人戦の再開と名誉名人の称号: 8月5日には、第1期名人戦の名人決定リーグ戦が再開されました。これは、将棋界の活性化に大きく貢献する出来事でした。また、11月6日には、長年にわたる功績を称え、小菅剣之助八段に「名誉名人」の称号が贈られました。これは、将棋界における功績を称える新たな制度の始まりを意味します。

激闘！坂田三吉を巡る名勝負: 2月には、坂田三吉と木村義雄八段による「南禅寺の決戦」、3月には坂田三吉と花田長太郎八段による「天竜寺の決戦」が行われました。南禅寺の決戦は95手で木村義雄八段の勝利、天竜寺の決戦は169手で花田長太郎八段が勝利しました。これらの対局は、当時の最高レベルの棋士による激しい戦いを象徴するものであり、多くの将棋ファンを魅了したことは間違いありません。これらの対局は、現代においても語り継がれる名勝負として、将棋史に刻まれています。

1936年度を振り返って: 1936年度の将棋界は、升田幸三という新星出現、長年の分裂からの和解、名人戦再開、そして新たな称号の創設など、様々な出来事が起こった激動の年でした。これらの出来事は、現代の将棋界の発展に大きな影響を与え、その歴史に重要な足跡を残したと言えます。 特に、若き升田幸三の活躍は、将棋界全体に活気を与え、新たな時代の幕開けを告げる象徴的な出来事だったと言えるでしょう。 また、長年の確執が解消されたことは、将棋界全体のまとまりと発展に大きく貢献したと言えるでしょう。 これらの出来事を通して、1936年度は、日本の将棋界にとって大きな転換点となった年であったと結論づけることができます。

参考文献:
加藤治郎、原田泰夫、田辺忠幸『［証言］将棋昭和史』毎日コミュニケーションズ、1999年9月。ISBN 4-8399-0255-0。
日本将棋連盟『将棋年鑑 昭和43年版』1968年。

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