1942年度の将棋界

1942年度将棋界：戦時下の激戦と新世代の台頭

1942年度（昭和17年度）の将棋界は、太平洋戦争の激化という厳しい情勢下にあったにもかかわらず、数々の重要な出来事が発生した、激動の年でした。

名人戦の圧倒的な勝利

まず、注目すべきは第3期名人戦です。前年度に引き続き、木村義雄名人と神田辰之助八段による七番勝負が繰り広げられました。結果は、木村名人の圧勝。7月11日から8月24日にかけて行われた4局を全て制し、4-0という圧倒的なスコアで名人位を防衛しました。これは木村名人にとって3期連続3回目の名人位獲得という快挙となりました。各局の詳細は以下の通りです。

第1局（7月11日～13日）：木村名人勝利
第2局（7月21日～23日）：木村名人勝利
第3局（7月31日～8月2日）：木村名人勝利
第4局（8月22日～24日）：木村名人勝利

昭和番付編成将棋の戦績

一方、昭和番付編成将棋では、第3回大会までの通算成績が9月に朝日新聞で発表されました。その結果、木村義雄名人が14勝4敗で首位を独走。2位には加藤治郎七段と長谷川清二郎六段が12勝5敗1持将棋で並んだことが明らかになりました。この結果は、木村名人の圧倒的な実力を改めて示すものとなりました。

新世代の活躍：大山康晴の台頭

1942年度は、将来、将棋界を席巻するであろう若手棋士の活躍も注目されます。10月に行われた第4期名人戦の予選では、大山康晴五段が金易二郎八段、斎藤銀次郎八段といった強豪を破る活躍を見せました。これは、後の大山時代の到来を予感させる出来事だったと言えるでしょう。翌1943年3月には第4期名人戦の予備手合三番勝負が始まりました。

戦時下の将棋界

1942年度の将棋界は、戦時下という厳しい状況の中で行われました。そのため、記録や資料の不足、棋戦の中断などもあった可能性があります。しかし、それでもなお、棋士たちは持ち前の技量と精神力で、激戦を繰り広げました。彼らの活躍は、戦争によって疲弊した国民に、わずかながらも希望を与えたことでしょう。

今後の研究

1942年度将棋界の詳細な状況を解明するためには、更なる調査が必要です。特に、当時の新聞記事や棋譜、関係者の証言などを精査することで、より詳細な歴史像を描くことが可能となるでしょう。本稿では、現存する資料に基づいて記述を行いましたが、今後の研究により、新たな事実が明らかになる可能性も十分にあります。

参考文献

山本武雄『将棋百年』時事通信社、1966年
加藤治郎、原田泰夫、田辺忠幸『［証言］将棋昭和史』毎日コミュニケーションズ、1999年9月
* 日本将棋連盟『将棋年鑑 昭和43年版』1968年

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