1951年イギリスグランプリ

1951年イギリスグランプリは、F1世界選手権第5戦として、1951年7月14日、シルバーストン・サーキットで開催されました。このレースは、F1世界選手権において、アルファロメオ以外のチームと自然吸気エンジン搭載車が初めて優勝を収めた記念すべきレースとして、F1の歴史に刻まれています。同時に、スクーデリア・フェラーリとドライバーのフロイラン・ゴンザレスにとっても初の優勝となりました。

それまでのF1世界選手権では、アルファロメオが圧倒的な強さを誇っていました。1937年までアルファロメオと密接な関係にあったエンツォ・フェラーリは、1938年に独立し、スクーデリア・フェラーリを設立。1948年からF1に参戦し、1950年のF1世界選手権開始以降は、アルファロメオとの激しい戦いを繰り広げていましたが、1951年のフランスGPまで、勝利を収めることができませんでした。

1951年、アルファロメオは新型車159（1.5リットルV12スーパーチャージャーエンジン搭載）を投入し、優勝を狙っていました。一方、フェラーリは前年までのスーパーチャージャーエンジンを捨て、4.5リットル自然吸気エンジンを搭載した375F1で対抗しました。

予選では、ゴンザレスがファン・マヌエル・ファンジオを1秒上回るタイムで初のポールポジションを獲得。これはフェラーリチームにとっても初のポールポジションであり、インディ500を含む世界選手権で、アルファロメオ以外の車が獲得した初のポールポジションでもありました。

決勝レースは、ゴンザレスとファンジオがフロントローからスタート。序盤はボネット（アルファロメオ）がトップに立ちましたが、すぐにゴンザレスがトップに躍り出ます。その後、ファンジオがゴンザレスを追い抜きトップに立ちますが、ゴンザレスはベケッツコーナーで再びリードを取り戻し、そのままトップを譲ることなくチェッカーを受けました。

レース中盤には、BRMのパーネルとウォーカーが上位を脅かす活躍を見せますが、最終的に5位と7位でフィニッシュ。アルファロメオのファンジオとファリーナは、燃費の悪さから2回ピットインを余儀なくされました。一方、フェラーリのゴンザレスは燃費が良かったため、1回もピットインせず、燃料補給無しで90周を走り切り優勝を飾りました。この結果、アルファロメオの連勝はストップし、フェラーリにとって記念すべき初勝利となりました。

ファンジオは燃料補給とタイヤ交換のためにピットインした際、トップのゴンザレスとの間に90秒もの差をつけられましたが、新しいタイヤを活かして猛追を見せました。しかし、最終的には51秒差でレースを終え、2位となりました。3位にはフェラーリのヴィッロレージが入りました。

なお、ゴンザレスはチームメイトのヴィッロレージやアスカリよりも古い車両とエンジンを使用していたにも関わらず、見事な勝利を収めました。このレースの結果、アルファロメオの圧倒的な強さが崩れ、F1世界選手権に新たな時代が到来したと言えるでしょう。ゴンザレスの活躍は、フェラーリというチームのポテンシャルの高さを示す、重要な出来事でした。

このレースでデビューを果たしたドライバーには、ジョン・ジェームズ、ダンカン・ハミルトン、フィリップ・フォゼリンガム＝パーカーらがいます。また、ファリーナはファステストラップを記録し、1ポイントを獲得しました。

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