1951年スイスグランプリ

1951年スイスグランプリ：アルファロメオの圧倒的勝利とモスのF1デビュー

1951年5月27日、スイスのブレムガルテン・サーキット。モナコグランプリが開催されなかったため、このスイスグランプリが1951年F1世界選手権の開幕戦となりました。そしてこのレースは、後にF1界のレジェンドとなるスターリング・モスのデビュー戦という、歴史的な意義も持つレースでした。

アルファロメオの圧倒的な力

このレースで最も印象的だったのは、アルファロメオの圧倒的な強さでした。前年シーズンを席巻したアルファロメオは、今年もその力を維持していました。4名のドライバー全員がグリッドの最前列2列目に並ぶという、驚異的な結果を残しています。この事実からも、アルファロメオがいかにこのレースを支配していたかが分かります。アルファロメオ勢に次ぐ最高位は、フェラーリのルイジ・ヴィッロレージでした。彼はファンジオ、ファリーナと共にフロントローに並び、アルファロメオ勢に挑みました。

雨のレースと手に汗握る展開

決勝レースは雨の中行われました。レース序盤は、ファンジオがファリーナをリードする展開でしたが、フェラーリのピエロ・タルッフィが6番手から猛追。トップ争いに加わってきました。その後、ファンジオがピットインすると、ファリーナがトップに立ちます。しかし、ファリーナはピットストップを行わず、この判断が結果的に裏目に出ることになります。29周目にファンジオが首位を奪還すると、その後はそのままトップをキープ。最終ラップ手前には、ファリーナを追い抜いたタルッフィにも1分近い差をつけて優勝を飾りました。

タルッフィは、このレースでF1初表彰台を獲得。デビュー2戦目での快挙でした。アルファロメオの他のドライバーであるコンサルボ・サネージとトゥーロ・デ・グラッフェンリートもポイントを獲得し、前週末のF2レースで火傷を負っていたフェラーリのアルベルト・アスカリを上回って完走しました。

モスのデビューと惜しい結果

一方、HWMのマシンでF1デビューを果たしたスターリング・モスは、7位を走行していました。しかし、最終ラップで燃料切れというアクシデントに見舞われ、ルイ・シロン（マセラティ）に順位を奪われ、8位でレースを終えました。デビュー戦での勝利とはなりませんでしたが、彼の潜在能力の高さを示唆する走りでもありました。

エントリーリストと結果

いくつかのチームがプラクティス前に撤退するなど、エントリーリストにも変化がありました。コンサルボ・サネージは予選から決勝までアルファロメオ28号車をドライブし、ジャンバティスタ・グィドッティは交代ドライバーとして登録されていましたが、レースには出場しませんでした。

最終的な結果は、ファンジオの圧勝。ポールポジション、ファステストラップもファンジオが獲得しました。雨の中での接戦、アルファロメオの強さ、そしてモスのデビューと、さまざまな要素が絡み合った、記憶に残るレースとなりました。このレースは、1951年シーズンの幕開けを鮮やかに飾るとともに、F1の歴史に新たな一ページを刻みました。

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