1957年の映画

1957年の映画業界の動向

1957年は、映画業界にとって多くの変化と成果が見られた年でした。この年は日本国内だけでなく、海外においても数々の映画祭での受賞や新しい技術の導入があり、映画文化の発展に寄与しました。以下に、主な出来事やその影響を詳しくみていきます。

世界の映画動向

1月、ニューヨークでは日本映画見本市が開催され、これは25日まで続きました。続いて3月には、ドキュメンタリー映画『標高八、一二五メートル マナスルに立つ』がイタリアのコルティーナ・ダンペッツォ国際スポーツ映画祭で最高賞を受賞しました。これにより、日本のドキュメンタリーが国際的に評価される契機となりました。

このような流れを受けて、6月にはアイルランドのコーク国際映画祭で小津安二郎監督の名作『東京物語』が特別優秀賞を受賞するなど、日本映画の名声が高まっています。そして8月には、桜映画社の『お姉さんといっしょ』がベニス国際児童映画祭でグランプリを獲得し、国際舞台での存在感を示しました。同じく8月にはモスクワ国際映画祭で今井正監督の『真昼の暗黒』が金メダル賞を受賞し、さらには『標高八、一二五メートル マナスルに立つ』が特別名誉賞に輝くなど、日本映画の評価は国を超えて広がっていきました。

日本国内の映画業界の動向

日本においても、1957年は神武景気の影響で映画業界が好調を維持していました。1月には東宝が国産の東宝スコープを完成させ、全国の歓楽街は戦後最高の人出で賑わいました。また、同月3日に公開された『任侠清水港』と『新諸国物語 七つの誓い 奴隷船の巻』はヒットを記録し、映画市場の活性化に寄与しました。

2月には、タシンスキー兄弟が京都でスーパースコープ技術の指導を行うなど、技術革新も進みました。また、同じく2月にはテレビ会社設立の申請が相次ぎ、映画業界とテレビ業界の融合が予見されました。

3月には、松竹が封切館の整理を行い、全国各地で作品の選定が見直される中、日映設立も発表されました。この日映の設立は日本映画界の大手の一翼を担うものとして大きな注目を集めました。

4月には、日活のシネマスコープ作品『鳳城の花嫁』と、新東宝の『明治天皇と日露大戦争』が封切られ、シネスコ時代の到来を告げました。同月には東宝本社の新社屋も完成し、映画製作と配信の両方の基盤が強固になっていきました。

映画賞と興行成績

国内外での映画祭では、各種の賞が発表され、多くの作品が評価されました。特にアカデミー賞では『戦場にかける橋』が作品賞と監督賞を受賞し、国際的な影響力を誇示しました。また、日本映画界では『米』が日本映画大賞を受賞し、評価が高まる中、石原裕次郎が主演の『嵐を呼ぶ男』が大ヒットとなり、プチブームを引き起こしました。

全年代を通じて、映画業界は多くの挑戦と機会を受け入れながら進化を続けました。入場料金も時代の趨勢に合わせて調整され、観客動員数は10億9888万人に達し、興行収入は681億5300万円となりました。

結論

こうした成果と出来事は、1957年の映画業界の発展を示すものであり、国際的な評価を受けることで、その後の日本映画の成長を促しました。また、新たな技術の導入と、映画とテレビの融合が進む中、映画界全体がダイナミックに変化しつつあることを示唆しています。この年の動向は、今後の映画文化を築く礎となる重要な時期だったと言えるでしょう。

もう一度検索