七つの誓い

新諸国物語 七つの誓い：ラジオドラマから映画三部作へ

北村寿夫原作による小説『七つの誓い』は、1955年、NHKラジオ第1放送でラジオドラマとして放送されました。月曜日から金曜日までの毎日、18時30分から18時45分まで放送されたこのラジオドラマは、当時の人々に大きな人気を博しました。

番組を彩ったのは、北村寿夫作詞（一部佐伯孝夫補作詞）、福田蘭童作曲による主題歌の数々です。「七つの誓いの唄」「三角帽子の唄」「黒水仙の唄」など、印象的な旋律は多くのリスナーの記憶に刻まれました。ラジオドラマとしての成功は、後の映画化へと繋がっていく重要な一歩となりました。

翌1956年から1957年にかけて、『七つの誓い』は東映によって映画化されました。単独作品ではなく、『黒水仙の巻』『奴隷船の巻』『凱旋歌の巻』の三部作として公開された大作です。製作・配給は東映、スタンダードサイズ、総天然色アグファ東映カラーという、当時の技術を駆使した作品となっています。

監督は佐々木康、製作は大川博と、映画界を代表するスタッフ陣が結集しました。企画にはマキノ光雄、藤川公成、吉野誠一といった、当時の映画界を牽引する面々が名を連ねています。撮影、照明、録音、美術、編集といった技術面も、三木滋人、田中憲次、石原貞光、鈴木孝俊、宮本信太郎といったベテランスタッフが担当し、作品のクオリティを高めました。音楽は山田栄一と福田蘭童が担当し、ラジオドラマで好評だった主題歌も映画版で再利用されました。

豪華なスタッフ陣に負けない豪華なキャストも『七つの誓い』の魅力です。主人公の五郎役には中村錦之助、黒覆面（麟之介信行）役には東千代之介、夕月丸役には大川橋蔵といった、当時を代表する人気スターが名を連ねています。脇を固めるのは伏見扇太郎、波島進、千原しのぶ、丘さとみ、三笠博子ら実力派俳優陣。さらに、山形勲、徳大寺伸、加賀邦男といった個性豊かなベテラン俳優も出演し、作品に深みを与えています。その他にも多くの俳優が参加し、群像劇としての見応えも十分です。

映画『七つの誓い』は、時代劇としての迫力と、豪華なキャスト、そして当時の最先端技術を駆使した映像美によって、多くの観客を魅了しました。ラジオドラマからの発展、三部作という構成、そして豪華な布陣は、まさに当時の映画界を代表する作品の一つと言えるでしょう。現在では、貴重な歴史的資料として、当時の映画製作や文化を知る上で重要な作品として評価されています。ラジオドラマと映画、それぞれのメディアで成功を収めた『七つの誓い』は、日本映画史において重要な位置を占める作品です。

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