1958年アジア競技大会

1958年アジア競技大会の概要

1958年に開催されたアジア競技大会は、東京都で実施された第3回目の大会であり、多くの意義を持った重要なイベントでした。この大会は「Ever Onward（限りない前進）」というスローガンのもと開催され、1964年の東京オリンピック招致を目指す意図があったことが特筆されます。

大会の目的と歴史的背景

大会は、国際オリンピック委員会（IOC）の総会も並行して行われた重要な場でもありました。開会式では、1896年のアテネオリンピックで演奏されたオリンピック賛歌が62年ぶりに復元されて演奏され、感動的な瞬間が生まれました。この記念すべき開会式を経て、翌年のIOC総会では東京オリンピックが正式に決定されたことは、今後の日本にとって大きな転機となりました。

大会の特色とハイライト

また、1958年アジア競技大会では初めて聖火リレーが実施され、この年の聖火はフィリピンのマニラで点火されました。そして、最後の聖火リレー走者を務めたのが織田幹雄であり、その象徴的な役割は大会の盛り上がりをさらに加速させました。

閉会式では、式典部長の松沢一鶴が光を用いた演出を行い、観客や参加者に別れの情緒を伝えました。この演出はIOC委員たちを驚かせ、1960年のローマオリンピックの閉会式でも同様の手法が取り入れられるほど、影響力を持ったものとなりました。

国立霞ヶ丘競技場（現在の国立競技場）は、この大会に向けて新たに建設され、旧明治神宮外苑競技場が解体される必要がありました。大会は成功に終わりましたが、交付された入場券が予想以上に多かったため、入場券を持っているにも関わらず観戦できなかった人々が出てしまうという問題も発生しました。

競技内容と参加国

大会では、柔道、陸上競技、水泳、サッカー、バスケットボール、ボクシング、ウエイトリフティング、射撃、テニス、バレーボール、卓球、ホッケー、自転車競技など、さまざまな競技が行われました。各競技には多くの国と地域から選手が参加し、それぞれの国の代表がメダルを争いました。また、中華民国の国旗を逆さまに掲揚するというミスもあり、国際的な注目を集める要素となりました。

記念発行物

アジア大会の開催を記念して、1958年5月24日には郵政省（現・日本郵便）より4種類の記念切手が発行されました。これらの切手は当時の国内外郵便の基本料金に基づいて額面が異なるなど、コレクターにとっても価値のあるものとなりました。

こうした様々な要素が組み合わさり、1958年アジア競技大会は単なるスポーツイベントに留まらず、日本のオリンピック招致への道を切り開く重要な歴史的な出来事として今なお語り継がれています。

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