1960年のル・マン24時間レース

1960年、フランスのサルト・サーキットは、世界中のモータースポーツファンを熱狂させる一大イベント、ル・マン24時間レースの舞台となりました。この年は28回目の開催で、1960年6月25日から26日にかけて、55台のレーシングカーが栄光の優勝を目指して激走しました。

レースは、想像をはるかに超える激しさで展開されました。過酷な24時間耐久レースを完走できたのは、出場した55台の内、わずか20台のみ。過酷な天候やマシントラブル、そしてドライバーたちの体力と精神力の限界に挑む、まさに生き残りをかけた戦いだったと言えるでしょう。

そして、この年のレースを制したのは、ポール・フレールとオリヴィエ・ジャンドビアン組がドライブする、鮮やかな赤のフェラーリ250TR60でした。11号車としてエントリーした彼らのマシンは、24時間という長時間に渡り、平均時速175.73kmという驚異的なスピードで4217.527kmもの距離を走り抜きました。この圧巻のパフォーマンスは、まさに伝説に残る偉業と言えるでしょう。

フェラーリの強さは、単なる1チームの勝利に留まりませんでした。上位7位入賞車のうち、実に6台をフェラーリが占めるという圧倒的な勝利を収めたのです。この結果は、フェラーリの技術力とチームワークの高さを証明するものであり、当時のモータースポーツ界における彼らの支配力を明確に示しています。唯一、フェラーリの独走を阻んだのは、ロイ・サルヴァドーリとジム・クラーク組のアストンマーティンDBR1のみ。3位入賞を果たした彼らも、フェラーリの強さを目の当たりにしたことでしょう。

この1960年ル・マン24時間レースは、フェラーリの圧倒的な勝利、そして過酷なレースを戦い抜いた全ドライバーたちのドラマが凝縮された、記憶に残るレースとなりました。フェラーリ250TR60の鮮やかな走り、そして完走を果たした20台のレーシングカーの勇姿は、今も多くのモータースポーツファンの心に深く刻まれていることでしょう。

このレースに関する詳細は、以下の参考文献を参照ください。

『ルマン 伝統と日本チームの戦い』グランプリ出版 ISBN 4-87687-161-2
ドミニク・パスカル著、日沖宗弘訳『ル・マンの英国車』ネコ・パブリッシング ISBN 4-87366-068-8
* 黒井尚志『ル・マン 偉大なる草レースの挑戦者たち』集英社 ISBN 4-08-780158-6

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