1962年の中日ドラゴンズ

中日ドラゴンズ1962年シーズンの概要

1962年、名古屋を本拠地とする中日ドラゴンズにとって、このシーズンは監督・濃人渉にとって2年目の挑戦となりました。前年は優勝にもう少しのところで失敗をし、その教訓からチームは大規模な選手のトレードを敢行しました。

主力選手として活躍していた井上登は南海ホークスにトレードされ、その代わりに長谷川繁雄と寺田陽介を獲得。また、正捕手の吉沢岳男は濃人監督から「キャッチングが下手」と厳しく指摘され、近鉄に移籍することとなりました。さらに若手の主砲である森徹も、濃人監督との対立が影響し大洋ホエールズへと放出される苦境に立たされました。

これらのトレードにより、新戦力として期待されていた長谷川と寺田はシーズン中に十分なパフォーマンスを発揮することができず、チームは思わぬ苦難に直面しました。吉沢を出した影響もあり、捕手は江藤慎一に頼らざるを得なくなり、結果的にチームは低迷することとなりました。状況を打破するために中日は急遽、元メジャーリーガーのドン・ニューカムとラリー・ドビーをチームに迎え入れる決断を下します。

彼らの加入はチーム力の向上に多少の貢献を果たしました。特に権藤博投手は絶好調を維持し、シーズン中に30勝を挙げ、2年連続で最多勝投手の栄冠に輝くことになります。その他にも柿本実が20勝、新人の門岡信行が10勝を記録するなど、先発陣の奮闘が見られました。しかし、前年の開幕投手であった板東英二はスタミナ不足でわずか2勝に終わり、河村保彦も4勝にとどまるなど、期待された投手陣においては明暗が分かれたシーズンとなりました。

打撃陣では、捕手に転向した江藤がチーム最多となる23本塁打を放つ活躍を見せ、チーム全体では107本塁打を記録しリーグ首位となりました。しかし、盗塁数が前年に比べて落ち込むなどバランスは欠けていました。

シーズンの最終成績は3位となったものの、相次ぐトレードによる選手の流出に伴うファンの不満を抱え、濃人監督体制は2年で崩壊を迎えます。後に杉浦清が監督に復帰し、反濃人派の選手がいなくなる中で、井上の影に隠れていた高木守道がレギュラーとしての地位を確立する明るい出来事もありました。シーズン終了後には、1961年に巨人から移籍してきた与那嶺要が引退し、打撃コーチに就任するという新たな展開もありました。

このように、1962年の中日ドラゴンズは多くのトレードや選手の移動があった波乱のシーズンとなり、その影響は後のチーム編成や選手層にも影響を与える結果となりました。

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