1962年モナコグランプリ

1962年モナコグランプリ：クーパーの栄光とフェラーリの健闘

1962年6月3日、モナコ公国モンテカルロ市街地コースで、F1世界選手権第2戦、1962年モナコグランプリが開催されました。このレースは、独特の選考方法とドラマチックな展開で知られています。

エントリーと予選：熾烈な争い

23台のマシンがエントリーしたものの、実際にレースに参加したのは21台でした。予選は、ワークスチームの主力2台は自動的に決勝進出が決定。残りの6台は予選タイムで決勝進出者を決定するという方式が採用されました。このため、予選で苦戦したドライバーも決勝の舞台に立つことができたのです。

ポールポジションを獲得したのは、ジム・クラーク（ロータス）。彼にとって初のポールポジションでした。その他、ロレンツォ・バンディーニ、ウィリー・メレス、ジャック・ブラバムといったそうそうたるメンバーが決勝進出を果たしました。一方、予選で好成績を残せなかったヨアキム・ボニエ（ポルシェ）やトニー・マグス（クーパー）も、この方式のおかげで決勝レースに参加することができました。

決勝レース：マクラーレンの勝利

決勝レースは100周で争われました。予選3位からスタートしたブルース・マクラーレン（クーパー）が、見事なドライビングで優勝を飾りました。これは、1.5Lエンジン時代（1961～1965年）におけるクーパーの唯一の勝利となりました。2位にはフィル・ヒル（フェラーリ）、3位にはバンディーニ（フェラーリ）と、フェラーリ勢が上位を独占しました。4位にはジョン・サーティース（ローラ）が入り、ローラは初のポイントを獲得しました。レース展開としては、マクラーレンが序盤と終盤でリード、中盤はグラハム・ヒル（BRM）がトップを走行するという展開でした。

ドライバーとチーム：豪華な顔ぶれ

このレースには、当時のF1界を代表する名ドライバーたちが集結していました。ワークスチームからは、ポルシェ（ボニエ、ガーニー）、BRM（ヒル、ギンサー）、クーパー（マクラーレン、マグス）、ロータス（クラーク、テイラー）、そしてフェラーリ（フィル・ヒル、バンディーニorメレス）が参戦。各チームがプライドを懸けた戦いを繰り広げました。特にフェラーリは、2台体制ではなかったものの、フィル・ヒルと、ロレンツォ・バンディーニもしくはウィリー・メレスのどちらかが出走するという体制で臨みました。また、リカルド・ロドリゲスもエントリーしていましたが、予備登録だったため決勝には出場しませんでした。全車ダンロップタイヤを装着していました。

まとめ：モナコGPの記憶

1962年モナコグランプリは、独特の予選方式、そしてマクラーレンの劇的な勝利、そしてフェラーリの活躍など、多くのドラマを生んだレースでした。このレースは、1.5Lエンジン時代のF1の歴史に、重要な1ページを刻み込んだと言えるでしょう。クーパーにとって唯一の1.5L時代での勝利、そしてローラにとっての初のポイント獲得という、歴史的な出来事もこのレースで記録されました。このレースの結果、ドライバーズランキングではトップ5に、フィル・ヒル、グラハム・ヒル、ブルース・マクラーレン、リッチー・ギンサー、そしてトレバー・テイラーが名を連ねました。 このレースは、F1の歴史における重要な一戦として、今も語り継がれています。

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