1963年大韓民国大統領選挙

1963年大韓民国大統領選挙

1963年10月15日に実施された大韓民国の大統領選挙は、第三共和国時代の大統領を選出するための重要なイベントでした。この選挙は5・16軍事クーデターを経て形成された軍事政権下で行われ、国家再建最高会議の民政移管の一環として位置付けられています。韓国では選挙回数を「第○回」というのではなく「第○代」と表現するのが一般的です。

選挙の経緯

1962年に行われた国民投票を通じて憲法改正が承認され、翌年の12月26日から新しい憲法が施行されました。この改正により、責任内閣制から大統領直選制へと移行し、大統領には強い行政権限が付与されました。これに伴い、朴正熙は1963年8月30日に予備役に編入された後、民主共和党の総裁に就任し、大統領候補の一人として登場しました。

一方、野党からは尹潽善（民政党）、許政（国民の党）、宋尭讃（自由民主党）などが立候補しました。選挙の告示は9月5日、候補登録の締切は9月15日であり、その時点で7名が立候補していました。しかし、選挙運動の最中に、10月2日に許政、10月7日に宋尭讃が立候補を辞退したため、実質的には朴正熙と尹潽善の二者による戦いとなりました。

選挙の争点

この選挙では、朴正熙候補（軍政勢力を代表）との尹潽善候補（旧政治勢力を代表）の間での対決が注目されました。両者の政党は保守的な立場をとり、明確な政策の違いはあまり見受けられませんでした。結果的に、政策論争は少なく、「思想論争」が主な焦点となりました。尹潽善が過去の事件に言及したことが、対立を一層激化させた要因となります。

選挙結果

選挙の結果、朴正熙が41.61%の票を得て当選を果たしました。この結果は、有効得票数では46.65%に相当します。彼は尹潽善を約15万票上回り、民政党からの支持を受けた選挙戦を制しました。投票日当日、12,985,015名の選挙人のうち、11,036,175名が投票し、投票率は85.0%に達しました。有効票は10,081,198票となっています。

選挙における朴正熙の勝利要因には、与党共和党の巨額の選挙資金や、野党の資金難、さらには候補者乱立が挙げられます。地域別には、ソウルや京畿道、忠清道、江原道では尹潽善が優勢でしたが、全羅道、慶尚道、釜山では朴正熙が勝利しました。特に全羅南道においては朴正熙が28万票以上の差を付けており、地域対立がまだ深刻ではないことを示しています。

脚注・参考文献

本選挙に関する情報は韓国中央選挙管理委員会の歴代選挙情報システムに基づいており、得票率は正確な得票数を元に計算されています。また、慎斗範の『韓国政治の現在－民主化へのダイナミクス』や、金容権編著の『朝鮮韓国近現代史』も本件の重要な参考文献です。

この選挙は、韓国の政治史における転換点であり、朴正熙の政権がどのように形成され、その後の大韓民国の政治情勢に影響を与えたのかを理解する上で欠かせないものです。

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