1963年東京都知事選挙

1963年東京都知事選挙は、昭和38年4月17日に実施された東京都知事を選ぶ選挙です。この選挙では、現職の東龍太郎氏が再選を果たしましたが、その過程は決して平穏なものではありませんでした。

選挙の概要

この選挙の主な争点は、東都政の是非と、それに伴う政策でした。革新統一候補として、元衆議院議員で前兵庫県知事の阪本勝氏が立候補し、現職の東龍太郎氏の有力な対抗馬として注目を集めました。阪本氏は、日本社会党、民主社会党、日本共産党からの支持を受けていました。

選挙は、611万を超える有権者を対象に行われ、投票率は67.74%でした。この数字は、前回の選挙よりもやや上昇しています。選挙には、複数の候補者が立候補しましたが、特に注目されたのは東氏と阪本氏の争いです。

選挙運動の激化

選挙運動は、非常に激しいものでした。保守勢力は、翌年に控えた東京オリンピックを前に、革新都政を阻止しようと躍起になっていました。そのため、大物右翼の児玉誉士夫や笹川良一、政府要人の川島正次郎らから資金提供を受け、右派候補が多数出馬しました。彼らは阪本氏の減票工作や選挙妨害を繰り広げました。

また、保守陣営によるニセ証紙事件も発生しました。これは、選挙管理委員会が発行した偽造証紙を大量に選挙ポスターに貼るというもので、選挙運動を大きく混乱させました。さらに、政治団体「肥後亨」は3人の候補者を擁立しましたが、そのうちの一人、橋本勝は戸籍を剽窃した第三者の成りすましであり、本人は既に死亡していたという事実が選挙直前に発覚しました。このため、橋本勝は立候補無効、得票0とされました。

選挙結果とその後

選挙の結果、東龍太郎氏が再選されましたが、選挙後には東派によるニセ証紙事件が発覚しました。革新陣営は選挙無効訴訟を起こしましたが、裁判所は選挙は有効であるとの判決を下しました。

この選挙は、単なる都知事を選ぶ選挙ではなく、その後の東京の政治に大きな影響を与えました。選挙戦における様々な出来事は、当時の社会情勢を反映しており、現代においても重要な教訓となるでしょう。選挙運動の過熱化や不正行為は、民主主義の根幹を揺るがすものであり、常に公正な選挙が行われるよう、監視と注意が必要であることを示唆しています。

まとめ

1963年の東京都知事選挙は、現職の再選という結果に終わりましたが、その背後には激しい選挙戦や不正行為、そしてその後の訴訟といった、多くの問題が隠されていました。この選挙は、日本の選挙史における重要な出来事の一つとして、記憶されるべきでしょう。

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