1965年モナコグランプリ

1965年5月30日、モナコグランプリがモンテカルロ市街地コースで開催されました。このレースは、F1世界選手権の第2戦として、100周に渡り繰り広げられました。

この年のモナコGPは、いくつかの注目すべき出来事がありました。まず、ジム・クラークとダン・ガーニーのインディ500参戦により、両名が欠場。これを受けて、チーム・ロータスはレース主催者とのスターティングマネー支払いをめぐる問題で撤退という決断を下しました。クラークはこのインディ500で優勝を果たしていることからも、この撤退は大きな痛手となりました。

ブラバムはガーニーの代役として、新人ドライバーであるデニス・ハルムを起用しました。一方、前年からF1に参戦していたホンダは、改良型のRA271であるRA272を投入。さらに、BRMからリッチー・ギンサーを獲得し、2台体制で臨みました。タイヤサプライヤーには、本格的にF1参入を果たしたグッドイヤーを採用するなど、このチームにはアメリカ色が色濃く反映されていました。

当時のモナコGPでは、決勝進出台数は16台に制限されており、その枠はファクトリーチームには1964年のドライバーズランキングに基づき、残りのグリッドは予選順位によって決定されるという方式でした。ロータスの撤退により、参加台数は17台となり、予選落ちとなるのは1台のみとなりました。

予選では、BRMのグラハム・ヒルがポールポジションを獲得。フロントローにはジャック・ブラバムが並び、2列目にはジャッキー・スチュワートとロレンツォ・バンディーニ、3列目にはジョン・サーティースとリチャード・アトウッド、そして4列目にはブルース・マクラーレンとF1デビュー戦を迎えるハルムがそれぞれ位置しました。

決勝レースは、ヒルとスチュワートのBRM勢が好スタートを切り、バンディーニ、サーティース、ブラバム、マクラーレンらが追いかける展開となりました。レース中盤、ヒルは周回遅れのボブ・アンダーソンと接触しかかりそうになり、エスケープロードに避けざるを得ない状況に陥り、順位を5位まで落としました。その後、スチュワートが4周リードしましたが、サン・デボーテでスピンを喫し、4位に後退。一時的にトップに立ったブラバムでしたが、エンジントラブルによりリタイア。結果、フェラーリ勢の1-2体制となりました。

しかし、ヒルは53周目にサーティースを、63周目にバンディーニを抜き、トップを奪還。見事、モナコGP3連覇を達成しました。スチュワートも77周目にサーティースを抜き、F1デビュー2戦目で3位表彰台を獲得するという快挙を成し遂げました。レース終盤には、ポール・ホーキンスがマシンごと海に転落するというアクシデントもありましたが、幸いにも彼は無傷でした。

このレースは、様々なドラマと波乱に満ちた展開で、多くのF1ファンを魅了した忘れがたい一戦となりました。ドライバーたちの卓越した技術と、マシン性能、そしてレースの偶然性が複雑に絡み合い、結果として歴史に残る名レースとなったのです。

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