1965年MGM保管庫火災

1965年MGM保管庫火災

1965年8月10日、カリフォルニア州カルバーシティにあるメトロ・ゴールドウィン・メイヤースタジオの第7倉庫で、悲劇的な火災が発生しました。この火災は、短絡によりナイトレートフィルムが引火することで起こり、最初の爆発によって1名が死亡し、倉庫内の全フィルムが破壊されるという甚大な損失をもたらしました。失われたフィルムには、MGM及びその関連会社が製作した多くのサイレント映画や初期のトーキー映画が含まれており、それらの作品の中には当時の唯一のコピーであったものもありました。

背景

火災が発生した倉庫は、スタジオの防火対策の一環として設計されており、コンクリート製の構造物であったことから、ロジャー・メイヤー当時のスタジオ長は「コンクリートバンカー」と称していました。この倉庫は周囲のフィルム盗難を防ぐために効果的であるとされていましたが、内装にはスプリンクラーが設置されておらず、エアコンが整備されていたわけでもなく、天井に取り付けられた小さな換気扇が唯一の換気装置でした。メイヤーは「火災による損失は限定的だった」と主張し、スプリンクラーが設置されていれば状況が変わったとは考えていないと述べています。

他の映画会社とは異なり、MGMは自社及びその前身が製作した映画の保存に非常に積極的でした。高額なフィルムの購入に加え、古い作品の撮影・保存に取り組むことで、過去の作品を手元に保管していました。1930年代以降、MGMはジョージ・イーストマン・ハウスなどへフィルムの寄贈を行い、1960年代にはナイトレートフィルムのプリントを安全な素材へと移す作業を進めていました。

火災の発生

事件は1965年の8月10日午後10時ごろに発生しました。短絡が原因で第7倉庫に引火し、その結果、大規模な爆発と火災が引き起こされました。火災によって倉庫の天井が落下し、フィルムが収納されていた缶に直接影響を与えました。この爆発音は、第1および第2ロットにいたルディー・ベルマーにも聞こえていたといいます。メイヤーは、少なくとも1名の死者がいると述べましたが、当時のメディアにはその情報は確認されていません。

火災は迅速な消火活動によって制圧されましたが、倉庫内のフィルムは救出されることはありませんでした。MGMが長年にわたって続けてきたフィルム保存の取り組みが功を奏し、全ての作品が消失することは避けられましたが、ロン・チェイニー主演の『A Blind Bargain』やグレタ・ガルボの『The Divine Woman』など、貴重な作品が失われました。そのため、フィルム回収のための捜索活動が行われました。

現在、MGMのサイレント映画の保存率は68％に達しており、大手映画会社の中でも最も高い数字を誇っています。この火災はMGMにとって痛手であったものの、逆にフィルム保存の重要性が再認識され、以降の映画保存活動へとつながる契機となりました。

関連項目

• - 1937年フォックス保管庫火災
• - 2008年ユニバーサル・スタジオ火災
• - フィルムが現存しない映画の一覧
• - フィルムが部分的に現存している映画
• - フィルムが再発見された映画の一覧

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