1967年のロードレース世界選手権

1967年FIMロードレース世界選手権：激動のシーズンと名勝負

1967年のロードレース世界選手権は、数々のドラマと変革が彩ったシーズンでした。4月のスペインGPから始まり、13戦に渡って繰り広げられたレースは、各クラスで手に汗握る展開を見せました。特に、この年はカナダ建国100周年を記念してカナダGPがモスポート・インターナショナル・レースウェイで開催されたことが大きな特徴です。世界選手権の一戦としてカナダGPが開催されたのは、この年限りでした。また、250ccクラスは全戦開催された一方、50ccクラスは7戦と、クラス間での開催回数の違いも注目すべき点です。最終戦の日本GPは富士スピードウェイで開催されましたが、前年のホンダによるボイコットの原因となった30度バンクは使用されず、コースレイアウトが変更されて行われました。

ホンダとスズキの撤退、そして新たな時代へ

このシーズンを語る上で欠かせないのが、ホンダとスズキのワークス撤退です。前年、全クラスでマニュファクチャラーズタイトルを獲得したホンダは、技術開発目標の達成を理由に、50ccクラスと125ccクラスからのワークス撤退を発表しました。同時に、チームのエースであるジム・レッドマンとルイジ・タベリも引退。マイク・ヘイルウッドとラルフ・ブライアンズがチームを牽引することとなりました。翌シーズンには大排気量クラスからの撤退も発表され、スズキもその後を追うようにグランプリからのワークス活動を終了させました。これらの撤退は、選手権の勢力図を大きく変える転換期となりました。

500ccクラス：ヘイルウッドとアゴスチーニの死闘

500ccクラスは、ホンダのマイク・ヘイルウッドとMVアグスタのジャコモ・アゴスチーニの激しいタイトル争いが繰り広げられました。ホンダは改良型の4気筒RC181、MVアグスタはパワーアップした3気筒マシンで対抗しました。シーズン序盤は、ヘイルウッドが好調でしたが、マシントラブルに苦しみ、アゴスチーニが勝利を重ねました。マン島TTではヘイルウッドが驚異的なラップスピードで勝利するなど、両者の激しい攻防は、シーズンを通して観客を魅了しました。しかし、ホンダRC181はハンドリングの問題を抱えており、ヘイルウッドは改良を要望するも、チームは独自改良を続けました。最終的にアゴスチーニが僅差でタイトルを獲得し、MVアグスタがマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。

350ccクラス：ヘイルウッドの圧倒的勝利

350ccクラスでは、ホンダの新型6気筒RC174が登場。このマシンを駆るヘイルウッドは、開幕から5連勝を飾り、第5戦のチェコスロバキアGPで早くもタイトルを獲得しました。圧倒的な速さでライバルのMVアグスタのアゴスチーニを圧倒しました。ヘイルウッドは、250ccと500ccクラスに集中するため、後半戦の一部レースを欠場しました。

250ccクラス：4人の猛者による接戦

250ccクラスは、ホンダのヘイルウッドとブライアンズ、ヤマハのフィル・リードとビル・アイビーによる4人の激しい争いがシーズン最後まで続きました。特に、ヤマハのRD05Aは前年からのトラブルを克服し、ホンダに強力な挑戦を挑みました。シーズン終盤までリードとヘイルウッドがポイントで並び、最終戦日本GPでヘイルウッドがリタイヤしたことにより、リードがタイトルを獲得しました。しかし、ヘイルウッドの優勝回数の多さにより、最終的にヘイルウッドがライダーズタイトルを獲得、ホンダがマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。

125ccクラス：ヤマハとスズキの2ストローク対決

ホンダの撤退により、125ccクラスはヤマハとスズキの2ストローク勢による争いとなりました。ヤマハはV型4気筒RA31、スズキは改良型の2気筒RT67を投入しました。ヤマハのアイビーとリードが圧倒的な強さを見せつけましたが、スズキの片山義美やスチュアート・グラハムも1勝ずつを挙げました。最終的にアイビーがチャンピオンに輝きました。最終戦では、スズキが新型V型4気筒RS67を投入しましたが、これはスズキのグランプリ撤退を意味する、最後の雄姿となりました。カワサキもこの年から参戦し、徐々に力を付けてきていました。

50ccクラス：スズキの完全支配

50ccクラスでは、ホンダの撤退によりスズキが完全優位に立ちました。スズキのRK67は完成度が高く、アンシャイトと片山が圧倒的な強さでタイトルを争い、最終的にアンシャイトが2年連続のチャンピオンとなりました。

まとめ

1967年シーズンは、メーカーの撤退やマシンの進化、そしてライダーたちの熱い戦いが織りなす、記憶に残るシーズンとなりました。このシーズンの結果と出来事は、ロードレース世界選手権の歴史に大きな足跡を残しました。各クラスでの詳細なポイントランキングやマニュファクチャラーランキングなどは、参考文献を参照ください。

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