1968年のラジオ (日本)

1968年の日本のラジオ

1968年は、日本のラジオ放送界にとって多くの変化と発展が見られた、記憶すべき一年となりました。特に、制度面での重要な転換と、未来を見据えた技術基盤の整備が進み、同時に番組制作においても活発な動きがありました。

制度と技術の進展

この年の最も大きな出来事の一つは、4月1日に実施された日本放送協会（NHK）によるラジオ受信料の廃止です。これにより、聴取者は受信料を負担することなくNHKラジオを自由に聴けるようになり、ラジオ普及の一層の促進に繋がったと考えられます。

また、当時まだ新しいメディアであったFM放送（超短波放送）に関する法制度の整備が大きく進展しました。7月1日には、電波法施行規則が改正され、FM放送に関する明確な定義が追加されました。これに続き、郵政省令として「超短波放送に関する送信の標準方式」が公布され、技術的な基準が定められました。さらに年末の11月29日には、FM放送に使用する周波数の割り当て計画である「超短波放送用周波数割当計画（チャンネルプラン）」が制定され、76.1メガサイクルから89.9メガサイクルの周波数帯がFM放送用として定められました。これらの法整備は、その後のFM放送の普及に向けた重要な一歩となりました。

放送局の動き

放送局の名称変更も行われました。8月12日には、ラジオ岐阜が「岐阜放送」へと商号を変更しています。

活発な番組改編

1968年は、数多くの新番組が誕生し、ラジオの多様性がさらに増した年でもあります。特に、若者文化の隆盛を背景にした深夜放送や若者向け番組、そして生活に密着した情報提供を目的とした番組が多く見られました。

この年に放送を開始した主な番組は以下の通りです。

1968年3月開始
東海ラジオ放送: 1日 ミッドナイト東海
毎日放送: 11日 丹頂ヤングチャレンジ
1968年4月開始
NHKラジオ第1放送: 4日 この人にきく、7日 あなたの歌、7日 午後のシャンソン、7日 文芸劇場、9日 ふるさとの心
NHK-FM放送: 11日 芸術展望
STVラジオ: 1日 STVモーニングエコー、1日 STVデイリーステーション
岩手放送: 8日 歌って笑って民謡まわり舞台
ニッポン放送: 開始日不明 お早うネットワーク
毎日放送: 11日 カージオティータイムミュージック、13日 明星 土曜ロータリー
大阪放送: 1日 ぶっつけ本番7時です
山陰放送: 開始日不明 ミッドナイトパートナー
極東放送: 2日 農漁村の皆様へ
1968年6月開始
毎日放送: 4日 すっとんトリオのお早よう漫画
1968年7月開始
毎日放送: 4日 しゃべって遊んで歌いましょう、6日 プールサイドで逢いましょう
1968年8月開始
朝日放送: 開始日不明 柴田邦江のおはようパートナー
1968年9月開始
ニッポン放送: 2日 円鏡の歌謡曲ドンドン
毎日放送: 2日 MBSセスナ情報 空からお早よう
1968年10月開始
STVラジオ: 7日 エンジェルコンサート
ニッポン放送: 7日 陳平・花の予備校
大阪放送: 7日 トヨタ・ニュースパトロール「1000台応答せよ」
1968年11月開始
STVラジオ: 17日 ワシントンサンデーミュージック
文化放送: 19日 日野ミッドナイトグラフィティ 走れ!歌謡曲
中部日本放送: 4日 ばつぐんジョッキー
開始日不明
和歌山放送: わたくしの作文

これらの番組の中には、時代の空気をつかみ、その後のラジオ放送に大きな影響を与えた番組も含まれています。

一方で、惜しまれつつ終了した番組もありました。

1968年3月終了
NHKラジオ第1放送: 28日 とんち教室
1968年7月終了
近畿放送: 31日 天壇ゴールデンリクエスト

この他にも、各放送局では開局周年や番組の記念回を祝う特別番組が企画・放送され、聴取者に様々な形でラジオの魅力が届けられました。

総じて、1968年は日本のラジオが新たな時代に向けて大きく動き出した年であり、法制度の整備、新しい技術への対応、そして多様な番組制作が同時に進められた、日本の放送史において重要な一年として位置づけられます。

（参考文献：日本放送協会総合放送文化研究所 放送史編修室 編『NHK年鑑'68』、同『NHK年鑑'69』、日本放送協会 編『放送五十年史』、同『放送五十年史 資料編』、NHK 編『放送の五十年 昭和とともに』）

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