1968年アメリカ合衆国大統領選挙

1968年アメリカ合衆国大統領選挙について

1968年11月5日に行われたアメリカ合衆国大統領選挙は、第46回の選挙であり、多くの政治的変動と社会的混乱を伴いました。選挙には主に共和党のリチャード・ニクソンと民主党のヒューバート・ハンフリーが立候補しました。これらの候補者たちは、ベトナム戦争などさまざまな社会問題を背景に支持を受ける一方、反戦運動や公民権運動などの対立も激化していました。

候補者指名争い

共和党

共和党内での候補者指名は、さまざまな問題を抱えた有力政治家たちによる熾烈な争いとなりました。リチャード・ニクソン元副大統領は、1962年にカリフォルニア州知事選挙で敗北して以来、生き残りをかけた戦いでした。彼に対する期待は非常に高かったものの、一般的には政治生命が絶たれたとみなされていました。他方、ネルソン・ロックフェラーニューヨーク州知事は、自身の離婚問題が影響し人気が低下。前回の候補者であるバリー・ゴールドウォーター上院議員は前回選挙での悲惨な敗北のため、再度の立候補はありませんでした。

ジョージ・ロムニー・ミシガン州知事は、ビジネス界での成功や知事としての成果を背景に有力候補となりました。しかし、彼のベトナム戦争に関する発言は適切さを欠き、支持を失い撤退を余儀なくされました。その後、立候補を表明していたニクソン、ロックフェラー、レーガンの三人が争奪戦を繰り広げましたが、ニクソンが常にリードを保ちました。最終的に、ニクソンは8月の党大会で指名を受け復活を果たしました。副大統領候補には、無名のスピロ・アグニュー・メリーランド州知事が選ばれました。

民主党

民主党の候補者指名争いでは、現職のリンドン・ジョンソン大統領が指名を獲得するものと一般には予想されていました。しかし、ユージーン・マッカーシー上院議員が反戦を訴え立候補し、意外にも高い支持を得ることとなります。この「マッカーシー旋風」は、特にニューハンプシャー州予備選での予想外の成果を背景に盛り上がりました。ジョンソン大統領は最終的に再選出馬を辞退し、マッカーシーの成功を受けてロバート・ケネディ上院議員も立候補を決意しました。しかし、ケネディはカリフォルニア州予備選後に暗殺され、党内ではヒューバート・ハンフリー副大統領の名前が浮上しました。ハンフリーは、党内での多くの反戦派からの不満を抱えつつも、候補者に指名されました。

選挙戦の展開

選挙戦では、ジョージ・ウォレスがアメリカ独立党からの第三候補として目立ちました。彼は人種隔離政策を支持し、ベトナムでの過激な政策を掲げ、カーチス・ルメイ空軍大将を副大統領候補に選びました。選挙戦は、ニクソンが圧倒的リードでスタートし、「法と秩序の回復」を訴え、南部をターゲットにした戦略を推進しました。対してハンフリーは、「偉大な社会」計画の継承を掲げつつも、外交政策において徐々に現政権から距離を置く姿勢に転じました。

その結果、選挙戦は接戦となり、ニクソンとハンフリー双方の得票率が接近しました。最終的な結果では、ニクソンが1.2ポイント差で勝利し、ウォレスは南部の特定の州で支持を獲得しました。

選挙結果

選挙結果を州別に見ると、ニクソンが多数の州で勝利を収め、南部においても一定の支持を得た一方で、ハンフリーは反戦派の支持を受けて接戦を繰り広げました。この選挙は、政治的な対立が明確に現れた歴史的な出来事となりました。

もう一度検索