1968年メキシコシティーオリンピック

1968年メキシコシティーオリンピックの概要

1968年のメキシコシティーオリンピック（1968ねんメキシコシティーオリンピック）は、10月12日から27日までの16日間、メキシコの首都メキシコシティで開催されました。この大会は、メキシコオリンピックやメキシコ1968とも呼ばれ、オリンピック史上初の高地での開催となりました。

大会開催までの経緯

メキシコシティーでのオリンピック開催は、1963年に西ドイツのバーデン＝バーデンで行われた第60回IOC総会にて決定されました。しかし、海抜が高く、空気が薄いという条件から反対意見も多く寄せられました。これに対して、メキシコオリンピックは決定通り進められました。

ハイライト

メキシコシティは、海抜2240メートルの地にあり、この大会では多くの注目すべき出来事が生まれました。開会式では、前回の東京オリンピックからオリンピック旗を引き継いだのは、東京の美濃部亮吉知事です。さらに、聖火リレーの最終ランナーには初めて女性のエンリケタ・バシリオ・デ・ソテロが起用されました。

陸上競技の新記録

高地の特性により、陸上競技では数多くの世界記録が誕生しました。特に男子短距離走の記録は長い間破られず、男子走幅跳ではボブ・ビーモンが8メートル90センチの記録を打ち立てました。この記録は1991年まで保持されました。また、三段跳では3人が前代未聞の五度の記録更新を行い、走高跳ではディック・フォスベリーが背面跳び（フスバリフロップ）で金メダルを獲得し、この技術が世界中で広まりました。マラソンでは、日本の君原健二が銀メダルを獲得し、エチオピアのマモ・ウォルデが金メダルを獲得しました。

体操競技の成果

体操では、日本が男子団体で3連覇を果たしました。さらに、男子床運動では選手が表彰台を独占し、個人種目でも強力なパフォーマンスを見せました。チェコスロバキアのベラ・チャスラフスカは、大会前の政治的背景にもかかわらず、個人総合と複数の種目で金メダルを獲得しました。

政治問題と事件

オリンピックを控えた10月2日には、メキシコシティで大規模な学生デモが発生しましたが、政府はこれを鎮圧し、多数の死傷者を出す事態となりました。このような政治情勢の中でオリンピックは開催され、陸上男子200メートルの表彰式では、アメリカの黒人選手がブラックパワー・サリュートを行い、IOCからの追放処分を受けました。

ドーピング検査の導入

この大会から、ドーピング検査が導入され、初めての違反者はスウェーデンの選手でした。

参加国とボイコット

開催に先立ち、南アフリカの参加を認める決定が問題となり、ボイコットを決定する国が現れました。しかし、最終的には南アフリカの参加が禁止され、ボイコットは回避されました。さらに、東西ドイツが初めて統一せずに参加し、特殊な国旗を使用しました。

主な競技会場

メキシコシティーオリンピックでは、エスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオやアグスティン・メルガル・オリンピック・ベロドローム、エスタディオ・アステカなど、多くの競技場が使用されました。各国から集まった選手たちは、新たな記録と歴史を生み出しました。

このように、1968年のメキシコシティーオリンピックは、記録達成や社会的影響の面で歴史的な大会となりました。

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