1969年の広島東洋カープ

1969年 広島東洋カープのシーズン

1969年の広島東洋カープは、根本陸夫監督が指揮を執って2年目のシーズンでした。前年にチームがAクラス入りを果たしたこともあり、この年は優勝候補として期待を集め、シーズン開幕直後の4月には首位に立つという幸先の良いスタートを切りました。

しかし、その勢いは長くは続きませんでした。早くも5月を迎える頃には順位を下げ始め、気がつけばリーグ最下位へと転落してしまいます。その後も、当時フジサンケイグループとヤクルト本社の共同経営だったサンケイアトムズ（後のヤクルトアトムズ）と最下位を争う混戦が終盤まで続きましたが、巻き返す力は残っておらず、最終的には力尽きる形となりました。前年の躍進からわずか1年で、チームはリーグ最下位に終わったのです。

最終的なシーズン成績は56勝70敗4分け。大きく負け越す結果となりました。この年のチーム状況を見ると、投手陣は安仁屋宗八、外木場義郎、大石弥太郎、白石静生といった面々が先発ローテーションの中心を担い、個々の力は決して低くありませんでした。しかし、彼らの好投も報われない試合が多く、打線の援護に恵まれずに敗戦するケースが目立ったのが実情です。

野手陣に目を向けると、将来の主軸となる若手の台頭が見られました。特に、この年ルーキーとして入団した山本浩二は、開幕から一軍に定着し、主に6番打者として打線に加わりました。チームの主砲である山本一義は主に3番打者として打線の中心を担い、前年後半から一軍での出場機会を増やしていた井上弘昭も、シーズン後半からは1番打者としてリードオフマンの役割を果たすことが増えました。

一方で、チームを支えてきたベテラン選手たちには、衰えの影が見え始めていました。山内一弘や古葉竹識といった経験豊富な選手も、往年のような活躍は難しくなり、欠場する試合が増加するなど、世代交代の必要性が浮き彫りになったシーズンでもありました。

シーズンを通して、投手陣が奮闘するも打線が全体的に低調であったことが、チームが最下位に沈んだ大きな要因と言えます。打線の中軸を担う選手の固定や、得点力不足が解消されなかったことが、特に苦しい時期には響きました。

この1969年シーズンは、成績こそ最下位に終わったものの、ルーキー山本浩二の台頭など、将来のチームを支える若手が芽を出し始めたシーズンでもありました。そして、シーズン終了後には、長年チームを支えた古葉竹識が南海ホークスへトレードで移籍するという大きな動きがありました。この出来事は、チームのさらなる世代交代を加速させ、後に「赤ヘル野球」として黄金時代を築く礎となる若手主体のチームへの転換を促す契機となったのです。成績としては悔しい結果に終わったシーズンでしたが、後のカープを形作る上で重要な過渡期であったと言えるでしょう。

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