1972年3月15日国鉄ダイヤ改正

1972年3月15日国鉄ダイヤ改正

1972年3月15日、日本国有鉄道（国鉄）は大規模なダイヤ改正を実施しました。この改正は、山陽新幹線の新大阪駅～岡山駅間の開業を主軸とし、全国の在来線にも大きな影響を与えました。このダイヤ改正は、その実施年と月日をとって「ヨン・ナナ・サン」とも呼ばれています。

ダイヤ改正の背景

1964年に東海道新幹線が開業し、東海道本線の輸送力不足は解消されました。しかし、新幹線と接続する山陽本線が新たな輸送力不足に直面しました。そこで、国鉄は東海道新幹線と直通運転を行う山陽新幹線の建設を決定。1967年に着工し、まず1972年3月に岡山駅までが開業しました。

この時、「ひかりは西へ」というキャッチコピーが用いられ、東京から岡山への直通運転が開始されました。これは、将来の九州方面への延伸を見据えたものでした。

改正の内容

山陽新幹線

山陽新幹線では、「ひかり」が中心となり、東海道新幹線との直通運転が行われるようになりました。「こだま」は朝晩のみの運行となり、「ひかり」は、停車駅の異なる3タイプに分けられました。

Wひかり: 山陽新幹線区間ノンストップ（4往復）
Aひかり: 新神戸駅、姫路駅に停車（8往復）
Bひかり: 各駅停車（14往復、事実上「こだま」の役割）

また、山陽新幹線区間では「Bひかり」が「こだま」の役割を果たすため、東海道新幹線の名古屋駅～新大阪駅間でも「ひかり」と「こだま」の料金格差が廃止されました。東京駅～名古屋駅間の料金格差は1975年の山陽新幹線博多延伸時に廃止されました。

在来線

在来線では、山陽新幹線との接続駅である姫路駅、岡山駅を中心に大規模な変更が行われました。

北海道地区

札幌駅を起点とする初の特急「オホーツク」が新設されました。これは、道央と石北本線沿線を結ぶものでした。

京阪神地区

山陽新幹線への転換に伴い、線路容量に余裕ができたため、新快速が増発されました。日中時間帯は毎時4本運転となり、西は西明石駅、東は京都駅まで運行されました。また、快速や各駅停車も増発され、終電も繰り下げられました。

播但線

新幹線接続特急として、大阪～鳥取・倉吉間の特急「はまかぜ」が2往復新設されました。

山陽本線

山陽新幹線の開業により、岡山駅以東の特急・急行列車は大幅に削減されましたが、岡山駅以西では増発されました。これにより、山陽本線は線路容量の限界近くまで列車が設定され、寝台特急では、貨物列車との規格ダイヤ化によって増発が行われました。

伯備線

新幹線と接続する形で、新大阪～出雲市間の特急「おき」を岡山駅発着に短縮し、増発した特急「やくも」が新設されました。これにより、関西方面から山陰地方中部へのアクセスが向上しました。

宇野線

新幹線開業に伴い、新大阪・大阪駅発着の優等列車はほぼ全廃されました。代わりに、新幹線接続の快速・普通列車が増発され、現在の「マリンライナー」の原型となりました。また、急行「瀬戸」は特急に格上げされました。

四国各線

四国初の特急列車として、予讃本線の「しおかぜ」と土讃本線の「南風」が新設されました。これらは、キハ181系気動車を使用して運行されました。

その他各線

北陸本線や東北系統でも特急列車の増発が図られました。

北陸本線：「雷鳥」「しらさぎ」が増発。
* 東北系統：「やまびこ」「ひばり」「ゆうづる」「やまばと」「とき」「みちのく」「白山」「あおば」が増発・新設。

また、東海道本線、山陽本線、阪和線、鹿児島本線、函館本線などでは、快速列車が増発されました。長距離普通列車は削減され、夜行列車を除き、東京駅発着の普通列車の最遠は浜松駅となりました。

まとめ

このダイヤ改正は、山陽新幹線の開業を機に、全国各地で大規模な変更が行われました。新幹線の延伸、在来線の優等列車削減、地域輸送の強化など、多岐にわたる改正内容が、その後の鉄道輸送に大きな影響を与えました。

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