1973年のヨーロッパF2選手権

1973年のヨーロッパF2選手権は、全17戦に渡る激戦の末、ジャン＝ピエール・ジャリエ（STPマーチレーシングチーム）がチャンピオンの栄冠を手にしました。今大会は、複雑なポイントシステムと、いくつかのレースで適用された特殊ルール、そして、ドライバーたちのドラマが凝縮されたシーズンとなりました。

レースは、開催地によって異なるフォーマットが採用されました。10戦は2ヒート制で、合計タイムで順位が決定。一方で、4戦は2回の準決勝ヒートと決勝レースで構成され、決勝レースのタイムが記録されました。さらに、ポイント獲得方法にも複雑な要素が含まれていました。各レースの優勝者には9ポイント、2位6ポイント、3位4ポイント、4位3ポイント、5位2ポイント、6位1ポイントが与えられましたが、これはすべてのレースに適用されたわけではありませんでした。

特に注目すべきは、いくつかのレースで適用された「Complementary Race」のルールです。これは、複数のレースが同一開催地で行われる場合に適用され、同一開催地における最初のレースのみがポイント対象となったのです。そのため、同一開催地で複数のレースに出場したドライバーは、2回目以降のレースで獲得したポイントは加算されませんでした。このルールによって、最終順位が大きく変動する場面もありました。

さらに、ポイント獲得資格についても制限がありました。FIAよりグレーデッド・ドライバー（フォーミュラ1での実績を持つドライバー）に認定されたドライバーは、F2選手権のポイントを獲得することができませんでした。この規定により、若手ドライバーにとって、F2選手権は自身の才能を証明する重要な舞台となりました。

しかし、このシーズンは悲劇的な事故にも見舞われました。第9戦ルーアンの予選セッションで、ジェリー・ビレルがシックス・フレール・コーナーでクラッシュ。この事故でビレルは命を落としたのです。この事故は、サーキットの安全対策の重要性を改めて浮き彫りにするものでした。

ポイントシステムの複雑さ、そして悲劇的な事故など、数々のドラマが展開された1973年のヨーロッパF2選手権。ジャリエのチャンピオン獲得は、まさに実力と運、そして、複雑なレギュレーションを乗り越えた証と言えるでしょう。

具体的なポイント付与の例外についても見ていきましょう。第6戦キネクレーと第15戦ノリスリンクでは、完走車両が少なかったため、上位6位以内すべてにポイントが付与されたわけではありませんでした。レギュレーションにより、第6戦では4位まで、第15戦では3位までがポイント圏内とされました。

また、Complementary Raceのルールにより、いくつかのドライバーは獲得したポイントを差し引かれる事態に陥りました。ヴィットリオ・ブランビラは、第14戦オーストリア・ザルツブルクで勝利を収めましたが、Complementary Raceの5回目のスタートだったため、9ポイントは差し引かれました。同様に、ビル・ギューベルマンとトム・プライスも、Complementary Raceのルールにより、獲得したポイントの一部を差し引かれました。

1973年のヨーロッパF2選手権は、ドライバーたちの技術と戦略、そして、複雑なレギュレーションと、レース中のアクシデントが複雑に絡み合った、非常に興味深いシーズンでした。ジャリエの優勝は、こうした様々な要素を克服した結果と言えるでしょう。このシーズンは、F2の歴史においても、重要な1年として記憶されるに違いありません。

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