1974年ブラジルグランプリ

1974年ブラジルグランプリ：地元ヒーローの凱歌と天候のドラマ

1974年1月27日、ブラジルのインテルラゴス・サーキットは、F1世界選手権第2戦、ブラジルグランプリの舞台となりました。このレースは、地元の英雄、エマーソン・フィッティパルディの活躍と、予想外の天候変化によって彩られた、記憶に残る一戦となりました。

熱狂的な観衆と予選の模様

予選日には、フィッティパルディの活躍を期待する12万人の大観衆がサーキットに詰めかけました。その期待に応えるかのように、フィッティパルディは見事なドライビングでポールポジションを獲得。2位カルロス・ロイテマンに0.3秒差をつける圧巻の走りを見せつけました。3位にはニキ・ラウダがつけ、フェラーリの強さを印象づけました。一方、前戦アルゼンチンGPで優勝したデニス・ハルムは11番手、ティレル勢は低調なスタートとなりました。また、マーチ731を使用する最後のレースとなったヘスケスのジェームス・ハントやブラバムのリチャード・ロバーツは、予選で苦戦を強いられました。

決勝レース：波乱の展開とフィッティパルディの勝利

決勝日には、予選を上回る13万人の観衆がサーキットに集まりました。しかし、レース開始は、コース上のガラス片の清掃とアルトゥーロ・メルツァリオのエンジン交換により、当初予定より遅れることとなりました。

スタート直後、ロイテマンとロニー・ピーターソンがフィッティパルディをかわして先頭に立ちます。しかし、ロイテマンはアンダーステアに苦しみ順位を下げていく一方、フィッティパルディとピーターソンは激しいバトルを展開。16周目、ピーターソンがメルツァリオを周回遅れにした直後に、フィッティパルディがピーターソンを抜き首位に立ちます。さらに、ピーターソンは左リアタイヤにガラス片が刺さりパンク、ピットインを余儀なくされました。

その後、フィッティパルディは地元ファンの大歓声を受けながら独走態勢に入ります。しかし、31周目、突如として大雨が降り始め、コースは川のようになったのです。主催者はレースの打ち切りを決定。フィッティパルディ、2位のクレイ・レガツォーニ、3位のジャッキー・イクスらは、チェッカーフラッグが振られる前にフィニッシュラインを通過しました。このため、3位以下のドライバーは1周遅れと記録されました。

フィッティパルディは2年連続でブラジルGP制覇、マクラーレン移籍後初優勝という快挙を達成しました。レガツォーニ、イクスが表彰台入りを果たし、母国グランプリとなったカルロス・パーチェが4位に入賞しました。

記録とその後

フィッティパルディは、この優勝で通算10勝目を達成。マクラーレンにとっても通算10勝目となりました。また、このレースが最後の出走となったピーター・レブソンは、残念ながら翌月のテスト走行中の事故で亡くなりました。

このブラジルGPは、地元ヒーローの活躍、天候の急変、そして悲劇的な事故など、様々なドラマが凝縮された、忘れられない一戦となりました。このレースの結果、フィッティパルディはドライバーズランキングを大きくリードし、その後のシーズンに繋がる重要な勝利となったのです。

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