1975年東京都知事選挙

1975年東京都知事選挙の概要

1975年4月13日に行われた東京都知事選挙は、第8回統一地方選挙の一環として実施されました。この選挙は、現職の美濃部亮吉知事の3選が焦点となり、自民党、民社党など各党が独自の候補者を擁立し、激しい選挙戦が繰り広げられました。

選挙戦の背景

選挙戦は、前年の1974年から始まっていました。

自民党の動き: 自民党都議団は、美濃部都政を「虚飾と偽善と怠慢」と批判し、石原慎太郎氏を擁立しようとしましたが、党本部の反対により頓挫しました。その後、元民社党の麻生良方氏に出馬を打診するも、固辞されました。田中角栄首相（当時）は、相澤英之氏を候補として推しましたが、金脈問題で退陣を表明しました。
美濃部氏の動向: 公明党は美濃部氏の3選支持を決定しましたが、日本共産党は同和行政に批判的であったため、支持を保留しました。美濃部氏は、社共共闘の膠着状態を打開するため、各党に協力を要請しました。
三木内閣の発足: 田中内閣の退陣後、三木内閣が発足しました。三木首相は、都知事候補として都留重人氏を説得しましたが、断られました。その後、宇都宮徳馬氏にも出馬を要請しましたが、これも実現しませんでした。

選挙戦の展開

石原慎太郎氏の擁立: 1975年2月、自民党は石原慎太郎氏を正式に擁立しました。石原氏は、美濃部都政を批判し、都政の刷新を訴えました。美濃部氏は、同和問題での社共分裂を理由に勇退を表明しましたが、都民の出馬要請を受け、3選を目指すことを決意しました。
美濃部氏の出馬: 美濃部氏は、「ファシストに都政は渡せない」と述べ、3選への意欲を示しました。各メディアは、美濃部氏と石原氏の討論会を企画しましたが、美濃部陣営はこれに応じませんでした。
松下正寿氏の擁立: 民社党は、松下正寿氏を擁立しました。松下氏は、民社党の支持層に加え、一部の労働組合からも支持を得ました。
その他の候補者: 赤尾敏氏、秋山祐徳太子氏など、多士済々な候補者が立候補し、選挙戦を盛り上げました。

選挙戦の注目点

候補者間の対立: 石原氏は、美濃部氏を「前頭葉も後頭葉も退化した七十代の老人」と批判しました。美濃部陣営は、石原氏の個人攻撃を非難し、テレビ討論を拒否しました。
労働組合の動き: 自動車労連は、美濃部氏が当選すると自動車規制が厳しくなるとし、石原氏を支持しました。一方、同盟傘下の労組は、松下氏を支持しました。
統一教会の関与: 松下氏は、統一教会の関連団体の会長を務めていました。統一教会は、石原氏の選挙運動に協力しました。

選挙結果

選挙の結果、現職の美濃部亮吉氏が、激戦を制して3選を果たしました。しかし、石原慎太郎氏も230万票を超える票を獲得し、落選候補としては当時の日本選挙史上最高の得票数となりました。松下正寿氏は、得票率が低く供託金を没収されました。

美濃部亮吉: 3,630,784票
石原慎太郎: 2,336,359票
松下正寿: 212,166票
赤尾敏: 163,394票

選挙後の影響

石原氏は、この選挙で落選したものの、1999年の都知事選で雪辱を果たし、都知事に当選しました。この選挙は、都政のあり方や、各党の思惑、選挙戦術など、さまざまな観点から注目された選挙でした。

まとめ

1975年の東京都知事選挙は、現職の美濃部亮吉知事の3選を巡り、激しい選挙戦が繰り広げられました。石原慎太郎氏や松下正寿氏など、個性豊かな候補者が立候補し、選挙戦は大きな話題となりました。選挙の結果は美濃部氏の勝利となりましたが、石原氏も多くの票を獲得し、その後の政治活動に繋がる大きな足跡を残しました。この選挙は、当時の日本の政治状況や社会情勢を反映した、非常に興味深い選挙であったと言えるでしょう。

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