1977年のル・マン24時間レース

1977年ル・マン24時間レース：ポルシェとルノーの激突

1977年6月11日から12日にかけて、フランスのル・マンで開催された第45回ル・マン24時間レースは、名だたる名門チームとドライバーたちの熱い戦いが繰り広げられました。前年優勝のポルシェは、ツインターボエンジンを搭載した936/77で連覇を目指し、強力なライバルであるルノー陣営と激しい争いを繰り広げました。

ポルシェの挑戦とルノーの猛攻

ポルシェは、最新のツインターボエンジンを搭載した936/77を2台投入。一方、ルノーはワークスチームがアルピーヌルノーA442を3台、さらにプライベートチームへの支援やミラージュへのターボエンジン供給など、多角的な参戦体制を敷きました。両陣営の圧倒的な力の差は、予選から明らかになり、ルノー勢がトップ3を独占する結果となりました。55台のマシンが、サルトサーキットに集結し、壮絶なレースの幕が切って落とされました。

レース展開とドラマ

レース序盤はルノーが優位に立ち、12時間経過時点では6周ものリードを築きました。しかし、夜半を過ぎると状況は一変。ルノー陣営は相次ぐトラブルに見舞われ、順位を下げていきます。その隙をついてポルシェがトップに躍り出て、主導権を握りました。

注目すべきは、12年ぶりに参戦を果たしたアストンマーティンです。ディーラーチームとして参戦した同車は、520〜530馬力の高出力を誇りましたが、1516kgという重量が足を引っ張る形となりました。ブレーキディスク交換に時間を要するなど、苦戦を強いられながらも、最後まで走りきりました。

そして、栄光のフィニッシュ

24時間という過酷なレースを終え、完走を果たしたのは20台のみ。激しい戦いを制したのは、ユルゲン・バルト、ハーレイ・ヘイウッド、ジャッキー・イクスの3名からなるチームがドライブするポルシェ・936/77でした。彼らは4,671.630kmという驚異的な距離を走り抜き、平均速度194.651km/hという記録的な速さで優勝を掴み取りました。

アストンマーティン83号車は、予備車両を投入するなど、困難を乗り越えながら3,546.400kmを走行。平均速度147.766km/hで距離部門17位、GTPクラス3位という健闘を見せました。

レースを彩る様々なドラマ

1977年のル・マン24時間レースは、ポルシェとルノーの激しいトップ争いだけでなく、アストンマーティンの復活劇、そして各車のトラブルや戦略、そしてドライバーたちの執念など、多くのドラマが凝縮されたレースとなりました。このレースは、自動車レース史における重要な1ページとして、今もなお語り継がれています。

参考文献

『ルマン 伝統と日本チームの戦い』グランプリ出版 ISBN 4-87687-161-2
ドミニク・パスカル著、日沖宗弘訳『ル・マンの英国車』ネコ・パブリッシング ISBN 4-87366-068-8
黒井尚志『ル・マン 偉大なる草レースの挑戦者たち』集英社 ISBN 4-08-780158-6
ポール・フレール著、平井啓輔訳『ポルシェ911ストーリー』二玄社 ISBN 978-4544040234

もう一度検索