1977年の広島東洋カープ

1977年、古葉竹識監督が指揮を執る広島東洋カープは、監督就任3年目のシーズンを迎えました。

この年もチームは苦しいスタートを切ります。開幕からまさかの7連敗を喫し、最初の12試合を終えた時点でわずか1勝という極度の不振に陥りました。序盤からつまずき、なかなか調子を上げられなかったチームは、4月を終えた時点で首位読売ジャイアンツとは大きく差が開いていました（その差は9ゲームに達していました）。その後もしばらくの間、中日ドラゴンズと最下位争いを繰り広げる厳しい戦いを強いられました。

打撃陣では、主砲の山本浩二が44本塁打を放つなど例年通りの活躍を見せ、新加入の外国人選手エイドリアン・ギャレットも35本塁打と期待に応える活躍で打線を牽引しました。しかし、この強力打線をもってしても、チームを上位に押し上げるには至りませんでした。

一方、投手陣は深刻な不振に陥りました。前年に沢村賞を獲得したエース池谷公二郎は、勝ち星が半減してわずか11勝に終わり、防御率も5点台と低迷。本来の力を発揮できませんでした。さらに、1975年の初優勝に大きく貢献したベテラン外木場義郎も右肩の故障に苦しみ、登板機会が激減するなど、先発、リリーフともに不安定な状態が続きました。このように、強力打線と脆い投手陣という投打のアンバランスは解消されず、シーズン終盤まで苦戦が続きました。

迎えた10月、7日時点で5位横浜大洋ホエールズに5.5ゲーム差をつけられ、最下位脱出は絶望視される状況でした。誰もがこのまま最下位に沈むと考えた状況です。しかし、ここからチームは驚異的な粘りを見せ、怒涛の4連勝を飾りました。そして、迎えた横浜大洋ホエールズとのシーズン最終戦。最下位脱出がかかる重要な試合で、先発マウンドに上がった高橋里志が緊迫した試合で勝利を挙げ、自身4年連続となる20勝を達成しました。この20勝がリーグ最多勝となり、高橋は自身初の最多勝タイトルを獲得するとともに、チームを劇的な最下位脱出に導きました。辛うじて最下位を免れるという、最後まで手に汗握る展開でシーズンを終えました。

この1977年シーズンは、ユニフォームデザインが大幅に変更された年でもありました。それまでの白を基調としたものから、チームカラーである赤を主体としたデザインに一新されたのです。ラインの色も赤と紺が逆転し、ベルトレス仕様のパンツのラインは紺色で赤色を挟み込む形となりました。これは現在のカープのユニフォームにつながる大きな転換点と言えるでしょう。

苦難のシーズンではありましたが、最後まで諦めない粘りを見せ、最終的に最下位を免れるというカープらしい意地を見せた一年でした。特に、絶望的な状況からの巻き返しは、後の黄金期にも通じるチームの底力の一端を示す出来事だったと言えます。

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