1977年ブリティッシュ・エアツアーズ ボーイング707離陸失敗事故

1977年ブリティッシュ・エアツアーズ ボーイング707離陸失敗事故

1977年3月17日、スコットランドのグラスゴー・プレストウィック空港で、ブリティッシュ・エアツアーズのボーイング707が訓練中に離陸に失敗するという事故が発生しました。この飛行機には4名の乗員が搭乗しており、全員無事でしたが、この事案は航空訓練の重要性とリスクについての議論を呼び起こしました。

事故機の概要

事故に関与したボーイング707-436（機体記号G-APFK）は、1960年に初飛行を果たした機体であり、製造番号は17712でした。ロールス・ロイス社製のコンウェイ508エンジンを4基搭載しており、1960年から1971年まで英国海外航空で運用され、その後1974年からはブリティッシュ・エアツアーズ所属となりました。

当日のフライト

当日のフライトでは、計4名の乗員が搭乗していました。機長（48歳）と副操縦士訓練生（29歳）、そして機長訓練生とその監督官が乗り込んでいました。このフライトは特にエンジン1基喪失を想定した離陸訓練であり、管制からの情報によると風速は18ノットから35ノットの範囲であったため、リスクが伴う状況でした。

事故の詳細

訓練生による離陸が始まると、スロットルを全開にし機体の速度がVRに達した時、機長が第1エンジンのスロットルを閉じ、「第1エンジン故障」と告げました。その後、訓練生が方向舵を用いながらも、機体は20～30フィートの高さに達した後、急速に下降。

左主翼が20度傾き、地面に接触してしまい、その後右に振られるようにロール。その結果、複数のエンジンが地面に接触し、滑走路上で機首が右に向かい、横に滑る形で停止しました。炎が出て、外部の火は迅速に消火されたものの、内部の消火には約50分を要しました。この際、乗員の一人が軽傷を負いました。

事故調査

事故発生の翌日から英国の事故調査機関であるAAIBが調査を開始しました。フライトデータとコックピットレコーダーの解析から、当該機はエンジン故障対応の訓練中であったことが分かりました。その中で、乗員の対処に通常よりも時間がかかっていたことが指摘されました。特に、通常は1.5秒以内に対処すべきエンジン故障への反応が、訓練生には2～3秒要していたとされます。

事故の原因

調査の結果、1978年9月にAAIBは事故の原因を「離陸時の外側エンジン故障を想定した訓練において、修正操作の遅延により機体の制御を喪失した」と結論付けました。このことから、安全な航空訓練における時間的な反応の重要性が強調される結果となりました。

事故後の影響

事故機G-APFKは、事故により壊滅的な損傷を受け、修理不能として1978年に除籍され、1979年には解体されました。この事故は航空業界における訓練手順の見直しや安全対策の強化に寄与しました。

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